研究デザインの分類

ここまで幾つかの観察研究に関する研究デザインをみてきたが、さて「無作為化臨床試験のデザインはどこに位置づけられるのか?」という疑問があるかもしれない。無作為化臨床試験は研究デザインとしてはある意味で“亜流”であり、医薬品の承認申請においては主役であっても、研究デザインの中では異質な脇役ととらえた方が適切かもしれない。ごく簡単ではあるが研究デザイン分類の表を掲載するので参考にしていただければと思う。

介入研究無作為化臨床試験が代表選手。治療に「介入」が入る
非介入研究
(観察研究)
横断研究
(「時間軸」を問わない、年齢分布や有病率を算出する研究)
縦断研究
(「時間軸」で
変化を見据える)
コホート研究、症例対照研究
(ケース・コントロール研究)、
コホート内症例対照研究
(ネステッド・ケース・コントロール研究)、
ケース・コホート研究
自己対照モデル ケース・クロスオーバー研究、SCCS,SSA
その他 色々と変化・進化中

研究デザインは日々進化中

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研究デザインはちょっとしたアイデアの提案が頻繁にあり、日々刻々と変化を遂げている。今回紹介したような研究デザインに「完全に合致する」研究よりも、「少しだけカスタマイズされた」デザインの方が実際には多いかもしれない。

例えばスタートは医療データを使うが、不足している項目や以降のイベント発生はフィールドの調査で追跡するという、時間的に過去も未来も含むデザイン。疾患登録データから気になるイベント発生だけは確定させてイベント発現率を求めた上で、実際にリスク因子を調べるのはイベント発生例と一部のイベント非発生例だけにするといった症例対照研究に近いデザイン。

これらは微妙に表中の研究デザイン名とは一致しない。実践の場は、入手可能な医療データや項目等々が過去の研究とは微妙に状況が異なっていることが常であり、研究デザイン名にあまりこだわるのではなく、よりフレキシブルな発想力や創意工夫が求められる。もちろん、疫学の専門スキルの裏付けがあってこそ、より適切な研究デザインを想起できる可能性が向上するはずである。その意味で「えきがくしゃ(=易学者?)」である私などは、まだまだ修行が足りない。