前回の当コラムで取り上げた高齢者支援団体「アッシュビー・ビレッジ(ASV)」でも、「麻雀グループ」が結成されている。麻雀は社会的交流になるだけでなく、加齢によって低下する脳や体の機能を改善し、認知症の予防にも役立つと言われているが、その実態をさぐってみよう。

仲間と麻雀するのは至福の時間

ASVの麻雀グループは複数あるが、そのうちの1つを取材させてもらった。毎週月曜の午後12時~15時まで、グループリーダーのグロリアさんの自宅に高齢女性4人が集まり、麻雀卓を囲んでいる。77歳、84歳、88歳、99歳という年齢を合わせると348歳(平均87歳)になるが、皆さん、実年齢よりずっと若く見える。これも麻雀の健康効果なのかもしれない。

麻雀ゲームの楽しさについて語る高齢女性たち(左はグロリアさん、右は筆者)
麻雀ゲームの楽しさについて語る高齢女性たち(左はグロリアさん、右は筆者)

今から4、5年前にグループを立ち上げたグロリアさんは以前、「ブリッジ」をやっていたが、それをやめて麻雀を始めたという。ブリッジはポーカーなどと並ぶ三大カードゲームの1つで、高齢者にも非常に人気があるが、なぜやめたのか。

彼女はこう説明した。「ブリッジは2人でペアを組んでやるので、片方がミスをすると、相方に迷惑をかけてお互い気まずくなったりします。特に私はミスをすることが多く、そうなるのが嫌でした。でも、麻雀はミスをしても他の人に迷惑をかけることはあまりないので、和気あいあいとした雰囲気でできます」。

グロリアさんによれば、米国では1940年代頃に麻雀ブームがあり、大都市の中産階級の女性などを中心に流行った。当時、彼女の母親も麻雀をやっていて、グロリアさんは若い頃に教えてもらったそうだ。そして彼女はブリッジをやめた後、シニアセンターなどで麻雀をしていたが、いつも同じ仲間とできたらもっと楽しいだろうと思い、ASVでこのグループを立ち上げたという。

私はグロリアさんに「麻雀は脳に刺激を与え、脳細胞を活性化するのに役立つと言われていますが、そう思われますか」と尋ねた。すると彼女は、「脳細胞を活性化しようと思ってやっているのではなく、楽しいからやっているのです。毎週仲間と一緒に卓を囲むのは大きな刺激になります」と答え、他の3人も頷いた。

99歳のジョイスさんは自分で車を運転してやってきたが、このグループに参加する前にシニアセンターでやっていたので、麻雀歴は10年くらいになるという。ジョイスさんにも麻雀をする理由について尋ねると、「ソーシャルタイム(社交の時間)です。仲間と一緒におしゃべりしながら、麻雀するのは至福の時間です。本当に楽しい」と即答した。

一人暮らしの彼女は麻雀の他にASVの映画鑑賞、読書、編み物などのグループにも参加し、ほとんど毎日車で出かけているという。問題は自分で運転できなくなった時だが、その時に備えて麻雀グループの他のメンバーに送り迎えをしてもらうことをすでに話し合っているそうだ。