「いつ運転をやめるか」の適切な判断

DMVは高齢ドライバーに対し、「できるだけ長く運転を続けてもらいたい」と思っているが、身体機能の低下などで安全運転が難しいと判断したら、運転をやめましょう」と呼びかけている。そしてその適切な時期を自分で判断できるように、「いつ運転をやめるか」のチェックリストを提供している(一部抜粋)。

― 運転中に不快感・緊張・怒り・恐怖心などをおぼえる。

― 車をフェンス、郵便受け、ガレージ、縁石などにぶつけてしまう。

― 車線マーカーを越えたり、他の車線に入ってしまったりする。

― 標識や信号を無視してしまう。

― 運転が遅すぎる、または早すぎる。

― 危うく事故を起こしそうな瞬間、または衝突が多い。

― 他のドライバーからよくクラクションを鳴らされる。

― ブレーキを踏むのが遅い。

― 気が散りやすい、運転に集中できない。

これらのチェック項目に当てはまるものがあれば、運転をやめた方がよいのだが、実際には高齢ドライバーの多くは自分の運転能力が落ちていることを認めたくないために、1人でその判断をするのは難しい。そこで家族や友人など身近な人の役割が重要になってくる。

交通安全の研究調査と教育啓発を行っているNPO団体「交通安全のためのAAA財団」(以下、AAA財団)は高齢ドライバーとその家族に対し、この問題について一緒に話し合うように促し、その際の注意点などをアドバイスしている。

AAA財団のデビッド・ヤン事務局長は言う。

「運転をいつやめるかの適切な時期は人それぞれですが、高齢ドライバーは自分の運転能力について話すのをためらう傾向があるので、家族ができるだけ早い時期に話をすることが大切です。そうすることで、高齢ドライバーは適切なプランを立てやすくなり、結果的に運転期間を可能な限り長くできるのではないかと思います」

ヤン氏によれば、話し合いは1対1で行うのが基本で、家族全員対高齢ドライバーという形にすると、本人が疎外感や怒りの感情をもったりするからだという。また、運転をやめた後の移動手段をどうするかを含め、できるだけ前向きな話にすることが大切だという。公共の交通機関が不十分で、車がないとどこへも行けないような車社会の米国では、移動手段の確保が重要だからである。

高齢者が運転をやめた後で移動手段を確保できないと、外出が難しくなって家に閉じこもりがちになり、生活の質にも影響を及ぼす可能性がある。

AAA財団が発表した研究調査では、運転をやめた高齢者は続けている高齢者よりもうつ病になるリスクがほぼ2倍、介護施設に入る確率が5倍近くも高いことがわかったという。両者の関連性ははっきり確認されていないが、運転をやめたことが生活の質の低下や心身の健康を害する結果につながった可能性はある。