長寿の秘訣は人それぞれ!

100歳過ぎまで元気にダンスを教えたガルトルード・クーナーさん
100歳過ぎまで元気にダンスを教えたガルトルード・クーナーさん

元気に長生きする人はそれぞれに秘訣を持っているように思われる。例えば、米国で最高齢者として116歳まで生きたガートルード・ウィーバーさん(1898年生まれ)は、亡くなる約9カ月前の雑誌のインタビューでこう語っている。

「人に優しくすれば、相手からも優しくしてもらえるので、それが長寿に繋がります。私がほとんど病気知らずで、元気にやってこられたのは、酒とタバコをやらず、十分な睡眠をとるように心がけたからだと思います。」

酒とタバコをやらないことを健康長寿の秘訣に挙げる人は少なくない。カリフォルニア州で114歳まで生きたアデライン・ドミンガスさんは、生涯ずっと薬を飲むことも骨折したことも、病院に行ったこともほとんどなかったそうだ。そんな彼女の長寿の秘訣は酒とタバコをやらない、化粧をしない、信仰心を持つこと(最高の良薬)だったという。

さらに米国メジャーリーグの名門、ニューヨーク・ヤンキースが創設された1901年に生まれ、111歳まで生きたアレクサンダー・イミヒさんは亡くなる1カ月前のテレビのインタビューでこう語っている。

「これまでずっと健康で生きてこられたのは酒を飲まず、毎日鶏肉と魚類中心の夕食を摂り、適度に運動をしてきたからだと思う。若い頃は水泳と体操をやっていました。」

一方で、ニュージャージー州に住むアグネス・フェントンさんのように、ほぼ毎日ビール3杯とウィスキー1杯を飲んでいたが、111歳までずっと健康で生きた人もいる。酒やタバコを控えて、バランスの良い食事や適度や運動を心がけながら、健康長寿を続ける人がいる一方で、細かいことはあまり気にせず、好きなものを食べ、好きなことをしながら元気に生きている(きた)人もいる。

こうしてみると、健康長寿の秘訣とは、「こうすべき」「すべきでない」という決まったものがあるわけではなく、人それぞれだということがわかる。

好きなように生きるのがベスト

結局は、ある程度食事や運動、ストレスなどに気を配りながら、好きなように生きるのがベストなのかもしれない。その意味で、特に私の印象に残っている米国人女性がいるので紹介しよう。

数年前にカリフォルニア州バークレーのシニアセンターで取材したガルトルード・クーナーさんは、102歳で亡くなる直前まで好きなダンスを教えていた。シニアセンターは全米各地にある公立施設で、65歳以上の高齢者に様々なクラスや支援サービスを提供しながら、自立を支援している。

クーナーさんは15人くらいの生徒を前に自らステップを踏みながら、楽しそうに教えていた。60〜80代くらいの生徒たちは1、2、3、4とテンポに合わせて足をあげたり、ジャンプしたり、お尻をふったり、回れ右をしたり‥‥、息を切らせながらも一生懸命に踊り、教室全体に熱気が溢れていた。

クーナーさんの健康長寿の秘訣は体と頭を適度に使うこと、それにいつまでも生きがいを持ち続けることだった。彼女は体育学の修士号を取得して公立高校の体育教師を65歳まで勤め、その後、シニアセンターでダンス講師を始めた。シニアセンターでは90歳頃まで有給で働いたが、その後はボランティア講師として務めていた。

彼女は常に体のことに気を配り、週3日ダンスを教える他、週1回の水泳とウォーキングを日課としていた。体の衰えは足からくることが多いので、特に足の運動に注意を払っていたのだ。

また、知的好奇心を刺激し、満足させることにも積極的だった。若い頃からダンスと文学が好きだったという彼女は、シニアセンターで「世界の文学」というクラスを受講し、古代ギリシアの演劇などについて楽しく学んだ。「人はいくつになっても知的好奇心を持ち続けることが大切なのです」と話した。

また、彼女が長くボランティア講師を務めていたのは、生徒たちの役に立つことで生きがいを持ち続けたかったからだという。100歳を過ぎた彼女が同じ高齢の生徒たちに愛され、必要とされていたことはクラスを取材してよくわかった。彼女の誕生日には生徒たちが手作りのケーキや料理を持ち寄り、一緒に祝った。

それから彼女は102歳の誕生日をシニアセンターで祝った後、数カ月して亡くなった。亡くなる直前まで楽しくダンスを教えてくれたことを、クラスの皆は今でも感謝しているという。

モラノさんとクーナーさんに共通しているのは、自分の好みとスタイルを大切にしながら、自由に自立して生きたことではないかと思う。それが2人の健康長寿に繋がったことは間違いないだろう。