矢部 体力に自信がおありのようですが、それもタンゴなどアート活動の成果でしょうか。

カンデル そうかもしれません。私はタンゴの他にヨガや合気道もやっています。合気道とタンゴは常に体のバランンスがとれるように柔軟にしておくという点で共通しています。合気道は同時に複数の相手が攻撃してきた場合を想定し、瞬間的に体を動かせるように練習しますが、タンゴでも常に両足を揃えず、柔軟に体を動かせるようにします。

また、合気道では怪我をしないような安全な転び方(受け身)の練習をしますが、これは人生にも通じることです。人生では仕事を失ったり、パートナーを失ったりと何度も転びますが、年をとると失うものが多くなり、立ち上がるのが難しくなってきます。だからこそ心と体を柔軟にして、様々な変化に対応できるようにすることが大切なのです。そのためにも脳を刺激しながら体を動かすアート活動が役立ちます。

■Dr. Stuart Kandell (スチュアート・カンデル博士)
英国のニューキャッスル大学で演劇学修士号を、ユニオンインスティチュート大学で世代間研究の博士号を取得。1978年にカリフォルニア州オークランドで、米国初の高齢者向け演劇学校「ステージブリッジ」を創立し、シニア演劇・アートを推進するパイオニアとなった。2013年に同校の運営を離れ、現在はカリフォルニア大学バークレー校医療人文学部の研究員として高齢者のアート活動などに関する研究調査を行う。アルゼンチンタンゴ、ヨガ、合気道、サイクリング、登山など多彩な趣味を楽しむ。