「2人高齢世帯」が孤立する理由

地域のつながりづくりは単独世帯だけでなく、2人世帯にとっても重要だ。なぜなら2人世帯でもどちらか一方に介護が必要となり、もう一方が介護する側になると、孤立するリスクがぐんと高まるからだ。

65歳以上の高齢者を同じく高齢者が介護することを「老老介護」という。2013年の厚生労働省の国民生活基礎調査では、在宅介護をしている世帯の半数以上にあたる51.2%が老老介護の状態にあるとの結果が出ている。老老介護については介護者の心身の負担の大きさがよく言われるが、それに加えて孤立の問題も指摘されている。介護者が介護に専念するあまり、地域とのつながりを失ってしまうのだという。

東京都大田区の牧田総合病院の地域ささえあいセンター長、澤登久雄氏はこう指摘する。「1人の方が要介護状態になると、2人セットで地域から孤立してしまうのです。介護者が奥さんの場合、元々地域とつながりが十分あり、友だちもいたとしても、ご主人が要介護になったのをきっかけに、“お父ちゃんを介護するのは私しかいない”、“遠くに住んでいる娘や息子に迷惑をかけたくない”などと思い、地域とのつながりを断って、夫の介護に専念してしまう。結局、それが長期化すると、地域から気づかれないような状態になってしまうのです」。

超高齢社会の日本では、老老介護状態になる可能性が高いとされる2人高齢世帯の割合が大きい。2015年の内閣府の調査では、65歳以上の高齢者がいる世帯は2372万4千世帯で、全世帯の47.1%を占める。そのうち、「夫婦のみ世帯」は746万9千世帯で、「単独世帯」(624万3千世帯)よりも多い。この約35年間の日本の家族構成の変化をみると、1980年に高齢者の単独世帯と夫婦のみ世帯を合わせて3割強だったが、2015年にはそれが6割近くに激増。一方、子どもと同居している高齢者の割合は1980年のほぼ7割から、2015年には4割弱に激減している。

つまり、老後を子どもに頼ることができない高齢者が激増しているわけで、このような状況では家族以外のつながりが重要となる。にもかかわらず、日本の高齢者は家族以外のつながりが非常に少ないことが、国際比較調査で示されている。例えば、2016年に内閣府が米国、ドイツ、スウェーデン、日本の高齢者を対象に行った調査では、日本は4カ国の中で、「困った時に家族以外で助け合える人がいない」という人の割合が最も高い。