1. 心不全にはステージがある1

ステージAは心不全予備軍。 少しでも心当たりがあれば、専門医の診断を

 一度発症すると決して完治することはなく、徐々に死に近づいていく恐ろしい病。それが心不全です。加齢に伴い、心臓は少しずつ弱っていきます。そもそも心臓の耐用年数は50年ぐらいといわれています。それでも、100年ほど前までの平均寿命を考えれば、十分だったのです。

 ところが、平和な時代となり豊かな社会が形成されて、平均寿命は80歳を越えるようになりました。すると、心臓は本来の耐用年数を超えて使われ続けます。でも、少々調子が悪くなったとしても、心臓を休ませるわけにはいきません。こうして年齢を重ねるごとに、心臓は少しずつ弱っていきます。臨床のデータによれば、55歳で全く病気のない人でも3人に1人は、後の人生で心不全を発症するとされています。

 ただし、心不全は「予防」が可能です。普段の心がけと適切な処置を早くから行うことにより、放っておけば心不全を発症する人でも、未然に防げる可能性が十分にあります。

 そのカギとなるのが、心不全のステージ分類です。心不全はステージAからDまでの4段階に分けられ、ステージごとに適切な処置が定められています。その中でもとても重要なのが、ステージAです。将来の心不全リスクは高いながらも、病気の症状はまだなく、心臓そのものにも悪いところのない状態です。

 では、どのような人が心不全のステージAに相当するのでしょうか。心臓は悪くないけれども、高血圧や糖尿病、メタボリック症候群などの生活習慣病を抱えている人です。日本には高血圧の患者さんが4000万人、糖尿病の患者さんは1000万人いるといわれます。こうした病気を持っている人が歳を重ねると、不全を発症する危険性が高まります。

 まず自分がステージAに当てはまっていないかどうか、一度チェックしてください。生活習慣病ではなくとも、喫煙される人はステージAとお考えください。

 そしてステージAに相当するなら、将来の心不全リスクについてぜひ一度、専門医の診断を受けましょう。転ばぬ先の杖といいます。この段階での予防を徹底すれば、心不全の発症を抑えられる確率が高まります。

監修:これからの心臓病医療を考える会