今回、初めてCRTについて知りましたが、導入は進んでいるのでしょうか。

芳賀 欧米ではアジアに比べて心不全患者が多く、多数の大規模試験でもその有用性が認められ、欧米諸国を中心に心不全の一般的な治療法として普及が進んでいます。日本では2004年にCRT-P、2006年にCRT-Dが保険適用となりましたが、地域や医療機関によって実施数に大きなばらつきがあります。

このCRTの臨床効果については、今年3月に改訂された急性・慢性心不全診療ガイドライン(2017年改訂版)の中でも触れられており(※1)、ステージ3で入れることが推奨されていますが、有用性や適応基準の周知が不十分なため、一般への普及が進みません。


※1 急性・慢性心不全診療ガイドライン(2017年改訂版)P47より抜粋
「2001年以降CRTに関するランダム化前向き試験が実施された。主に薬物治療抵抗性のNYHA 心機能分類III度またはIV度の重症心不全で、LVEF≦35%、洞調律、QRS幅が120~150ミリ秒以上の症例を対象としている。その結果、CRTは運動耐容能を含めたQOLを改善し、左室内径を縮小し(左室リモデリングの改善)、LVEFを増加することが示された。さらにCOMPANIONは 総死亡または心不全入院の減少を、CARE-HFは総死亡の減少を示した。メタ解析でも、CRTは総死亡を26%減少させた。」

CRTの普及に対して、今後はどう取り組んでいきますか。

芳賀 これまでにもCRTをテーマに、国内外の専門医を招聘したシンポジウムを開催したり、患者さん向けのパンフレットの作成やWebサイトで情報を提供するなど、様々な活動を行ってきましたが、患者さんがその情報に辿り着くためにはメディアの力も必要です。

CRTがどのような治療法で、どのような効果が期待されるのか、実際にCRTを実施している医師の方々のお話や患者さんの体験談など、メディアの力も借りながら、より多くの人に知ってもらいたいと考えています。

最後に、「これからの心臓病医療を考える会」では、昨年から日本循環器学会と連携し、心不全啓発キャンペーンをスタートさせています。学会による一般向け「心不全の定義」の発表、アニメキャラクターの起用、一般向けセミナー、かかりつけ医向けのセミナーなど、様々な活動を展開していますが、同キャンペーンに対する期待や要望などがありましたら、お聞かせください。

芳賀 先ほどのCRTの話に関連しますが、心不全治療のオプションには薬物治療しかないという認知度の低さが課題です。重症化する前にCRTデバイスというオプションがあること、これによる治療効果や予後に対する好影響があることなどについても、ぜひ啓発の中に含めて欲しいと思います。

全く知らないところから、「ああ、そんな治療法があるんだ」というところまで持っていき、次に心房細動が心不全を悪化させる関係にあることなど、さらにその先へ、知識を深めてもらうことが重要だと考えています。

第3回終わり(連載3回)