内科と外科が緊密に連携し、
より先端のクリティカルな手技を

循環器疾患の治療において、内科的治療が最適な場合もあれば、外科的治療が必要なケースもあります。近年、循環器内科と心臓血管外科が連携し、一人の患者を治療していくことが求められていますが、こうしたハートチームについてどのようにお考えですか。

芳賀 冒頭にご紹介したように、私たちが所属しているCRHFの上位組織がCVG事業部で、その中にあるストラクチャラルハート&エンドバスキュラー事業部において、TAVI(Transcatheter Aortic Valve Implantation:経カテーテル大動脈弁留置術)の治療を提供しています。

このTAVIは、心臓血管外科と循環器内科によるハートチームをコンセプトに導入されているので、両者のコラボレーションによって実施される病院が増えており、以前より外科と内科が近くなっていると感じます。また、心臓移植に至るまでのVAD(補助人工心臓)も、植込みを行うのは外科の医師で、その後の管理は内科の医師が担当されています。やはり新しい技術、より先端のクリティカルな技術においては、外科と内科の緊密なやりとりが重要になってきます。

ICDの植込みやCRT(心臓再同期療法)ができるハイパワー施設と呼ばれる医療機関は日本に四百数十ほどしかありませんが、地域の病院から心不全の患者さんを紹介することで、より総合的な診療が受けられるだけでなく、心不全治療の選択肢としてCRTのような植込み型デバイス治療の選択肢が挙がってくると思います。

ペースメーカの装着は循環器内科の医師が行うのですか。

芳賀 元々は心臓血管外科の医師がされていた施設が多かったようですが、手技がやりやすいようアクセサリーや機能が簡便化されたこと、それから以前はICDも腹部埋込みが必要だったところ、デバイス自体が軽量、コンパクト化したことで、主に循環器内科の医師が行うようになりました。また、普段からPCI(冠動脈インターベンション)に携わっている医師がペースメーカの植込みをされることも多く、ICD、CRT-D(両室ペーシング機能付き植込み型除細動器)の手術では、不整脈の専門医が行うケースが多いと思います。

企業としての知名度を上げるのではなく
疾患・治療法に関する啓発活動を

ここまでのお話から、御社は多様な領域に対し、様々な製品とソリューション、充実した教育プログラムも提供されていることがわかりました。ただし、扱っている製品は私たちには馴染みのないものです。一般に対して御社の認知度を高めることはお考えでしょうか。

芳賀 BtoBtoC(Business to Business to Consumer)に関して、以前から社内で議論があることは事実です。一方で、現在の薬機法等の中で、メドトロニックの扱う製品のほとんどは患者さんへの直接的なプロモーションは認められていないため、そこは限界があるでしょう。しかし、製品そのものというよりも、疾患・治療法に関する啓発活動という意味でのサポートはできると考えています。それが社名を前面に出さずに心不全ドットコムなどの運営に繋がっています。このように、一般の方々、患者さんとその家族の目にとまるような形での啓発活動は行ってきましたが、企業名を広く知っていただくには至っていません。

○心不全がよくわかる心不全.com

日常的に馴染みのある製品を扱っていれば、一般の人が企業をイメージしやすい面はあるかもしれません。

芳賀 内視鏡による低侵襲開腹手術などで、専門誌に取り上げてもらうことはありますが、それによって社名が一般の人々に浸透するかというと、これも難しいところです。企業のネームバリューやイメージは、ご指摘の通り身近な製品などから感じられると思いますが、メドトロニックには一般の方々にとって身近な事業領域はあまり多くありません。

ただ、新卒採用においては、社名の浸透は大きなプラスになるため、強化する方向で動いています。人事部門を中心に、リクルーティングに関する様々なプロモーションを行っているほか、広報部では企業のブランディングにも様々な形で取り組んでいます。

では、医療者にとって企業のブランドイメージは左右すると思われますか。

芳賀 価格でいうと、保険償還価格で同じ機能の製品は一律の価格と定められているため、基本的には変わりません。医療従事者の方は、それぞれの製品やブランドに対するイメージはお持ちでしょうが、ではブランドだけで選んでいただけるかというと、それだけではないと思います。やはり患者さんの症状に合わせ、その時々で最適な製品や治療法を選んで決められる医師が多いと感じます。

GEはエジソンが創った会社と言われるように、御社も世界初でペースメーカを開発されています。

芳賀 メドトロニックは、創業者アール・バッケンが世界初で電池式体外型ペースメーカを開発したことが発祥です。企業の歴史を感じていただけると同時に、製品の信頼性、機能や品質のバランスの良さ、日本における営業体制や情報提供が充実していることも理解していただいていると考えています。

第2回終わり(第3回に続く)