オリックス自動車が開発した『e-テレマ』は、通信とGPS機能を備えた車載機を搭載し、取得したデータを活用することで事故の防止やCO2の削減を図るテレマティクス・サービスである。さらに、これを運送事業者向けに発展させたのがデジタルタコグラフ機能付『e-テレマPRO』だ。

それぞれの特長や利用実績が急伸した理由について同社代表取締役社長・亀井克信氏に、導入経緯や社内における変化については、ユーザーのLIXILグループ執行役副社長・八木洋介氏と日東フルライン取締役副社長・井の下泰弘氏にお話を伺った。

安全とエコの“見える化”に加え
保険料、ガソリン代などのコストも削減

オリックス自動車株式会社 代表取締役社長
亀井 克信 氏

オリックス自動車は、この2年間で『e-テレマ』の利用台数を12万1000台、登録者数30万人に倍増させた。その理由について、同社代表取締役社長の亀井克信氏は、「昨今、コンプライアンスの重要性から、企業が業務で車を走らせることにはさまざまなリスクがあることを認識されるお客さまが増えたと感じます。加えて、『e-テレマ』の導入件数がここまで飛躍的に伸びたのは、口コミによる効果が大きいでしょう。すでに導入されたお客さまが効果を実感され、改善した事例を他企業へお話くださっているようです」と振り返る。

導入後にユーザーが驚くのは、これまで見えなかった速度超過、急加速、急減速などの運転挙動が完全に“見える化”されることだ。これらのデータは当然良いデータではないので、是正しなければさまざまな問題が起こってくる。「第一義的には事故ですが、事故がないとしても営業車は、運転挙動そのものが企業の姿勢と見なされるため、社員の意識を向上する意味でもこれらを改善するメリットは大きい」と、亀井氏は強調する。加えて、安全運転によって燃費を向上させることがエコドライブにつながり、結果的に『e-テレマ』にかかるコストも吸収でき、付けた分だけプラスになるケースも多いという。

また、営業マンが日常的に使うルートが表示されるため、時間効率や燃費がより良いルートを新たに構築できたケースがあり、結果、労働時間の削減と売り上げ拡大の両立につながった。本来の目的とは異なるが、“見える化”によってユーザー自身が、違う切り口から活用法を広げた好例である。

導入のメリットは安全やエコだけにとどまらない。それがいま注目を集めているテレマティクス保険だ。以前から複数の損保会社では自社の車両に『e-テレマ』を導入しており、事故防止につながることを理解している。亀井氏は、「オリックス自動車の『e-テレマ』であればと、特別な割引率を設定していただいています。多くの営業車を抱える企業であれば、事故が減少することと併せて、コストカットできる保険料総額はより大きくなります」と胸を張る。

『e-テレマPRO』では
後退時の速度測定機能を搭載し
多様なリスクに対応

2015年4月から事業用貨物自動車への運行記録計(通称デジタコ)の装備義務付け対象が、車両総重量7t以上の新車に拡大された。その状況を見据え、同社では2014年12月からデジタコ機能付『e-テレマPRO』の提供も始めた。装置は車載器メーカー以外で国内初の国交省型式認定も取得(型式指定番号:自TDII-51)。開発にあたって初めて搭載した機能が、後退時の速度測定だ。多くの運送事業者では「ゆっくりバックすること」が啓発されているが、前進と違いスピードメーターを見ながらというわけにはいかず、ドライバーの主観に頼らざるを得ないため、バック事故が多く、これを減らすことが課題となっていた。亀井氏は、開発のポイントを「バック時のスピードを計測したところ、時速5kmでは速すぎ、3kmなら丁寧な運転という結果が出ました。丁寧な運転なら、アクシデント起こっても対応できます」と語る。『e-テレマPRO』は、ユーザーの潜在的なニーズを追求したことが支持され、現在も利用台数を増やし続けている。

『e-テレマ』『e-テレマPRO』
第17回グリーン購入大賞 大企業部門大賞受賞

グリーン購入ネットワークによる「第17回グリーン購入大賞」において、『e-テレマ』『e-テレマPRO』は、「大企業部門大賞」を受賞。データを“見える化”することにより、エコドライブと安全運転を実現し、環境負荷の減少を促す装置に、導入企業自身が活用できるようコンサルティングサービスを付加した取り組みが評価された。