2015年10月7日(水)~9日(金)、東京ビッグサイトにおいて、14カ国1地域、520社が集うアジア最大の総合福祉機器展「第42回国際福祉機器展H.C.R.2015」が開催された。その中で、ひときわ注目を集めたのは、最新の介護機器やシステムの提案と共に、住宅や施設向けの商品が多数出展されたパナソニックブースである。

 介護事業に取り組んで18年目を迎えるパナソニックは、2015年12月現在、全国に介護サービス120拠点、サービス付き高齢者向け住宅、介護付き有料老人ホームを合わせて22カ所、介護ショップ117店舗を展開している。

 連載第5回目は、アカデミアや行政との連携、展示会への出展の意義などについて、引き続き、パナソニック エコソリューションズ社エイジフリービジネスユニット事業推進部長の斉藤裕之氏にお話を伺った。

アカデミアや行政との連携により
サービスやシステムの精度を上げる

高齢者事業においては、複雑な制度や国がケアすべきところとの兼ね合いなどの問題があります。研究開発やアカデミアとの連携について、斉藤さんはどのようにお考えでしょうか。

斉藤 各省庁や機関とは、既にいくつかの取り組みをしており、健康寿命の延伸や地域包括ケアの実現に向けたICTの利活用や、介護負荷の軽減のための介護ロボットの開発、リハビリニーズを解決する未来医療の研究開発などを行っています。

例えば、2013年度は総務省が推進しているスマートプラチナ社会推進会議戦略部会に委員として参加させていただき、2014年度から同実証事業「ICTを活用した健康予防モデルの実証」等の委託を受け、当社の介護施設で実証・調査事業をスタートさせています。

資料-1 スマートプラチナ社会の実現に向けて 
平成26年6月30日 総務省 情報流通行政局情報流通高度化推進室
http://www.kiai.gr.jp/jigyou/h26/PDF/0630k1.pdf

こうした委託事業は、実際に事業として継続しているものは少ないですが、当社は電機・住宅設備機器メーカーであり、かつ介護事業者という立場で、介護現場の課題解決、事業経営といった視点で実業に繋げるべく取り組んでいます。

医療分野においては、慶応大学医学部等と共同で、昨年4月に発足した「AMED(Japan Agency for Medical Research and Development:日本医療研究開発機構)」の「未来医療を実現する先進医療機器・システムの研究開発」プロジェクトにおいて、“脳卒中患者向けニューロリハビリテーションシステムの開発”に取り組んでいます。また、昨今メディアでも取り上げられる機会が急増している認知症や自立支援アシストロボットなども、様々な研究開発機関、アカデミアとの連携による開発が増えており、学会等での研究開発成果も今後増加してくると思います。

加えて、各省庁や学術機関の方々とも話をする機会も増え、1企業として商品・システムを開発するだけでなく、実際に導入を行い、業務改善や経済性の効果検証、他の事業者との連携、市場への普及方法等の検討により、制度設計や認知活動など産官学の連携による活動の重要性を感じています。

制度といえば、介護保険制度の改正についてはいかがでしょうか。

斉藤 はい。2015年4月の介護報酬改正では当社も含め、対象事業を担う介護事業者は減収を余儀なくされましたが、3年に1度介護保険費用の動向を見ながら、制度改正をすることは重要です。今後、要介護者の急拡大、介護報酬のさらなる引き下げの可能性が高まり、提供サービスの品質も問われていくものと思われます。但し、総費用や平均値を試算ベースにした一律の足きり型改正を行うと、介護現場の実態から乖離した改悪改正になり、本来の目的である介護の質の向上につながらないばかりか、将来の介護度悪化、最終的には介護費用増加になってしまいます。