1998年、来るべき超高齢社会を見据えて、パナソニックは介護事業に進出した。その第1号となったのが、介護付有料老人ホーム「エイジフリー・ライフ大和田」である。以降、パナソニックはサービスと商品、在宅と施設の4つの切り口から事業領域を広げてきた。

連載9回目は、エイジフリー・ライフ大和田・施設長の辰巳弘光氏と、パナソニックエイジフリーサービス・取締役の片島逸平氏に人材育成の方法、今後の展望などについて伺った。

スタッフとの会話が
サービスの質をキープする

ターミナルケアまでとなると、スタッフへの負荷が大きいのではないでしょうか。

辰巳 人材不足が常態化している業種ですが、幸い私たちの施設ではスタッフが不足しているという状況ではありません。仕事柄経験を積むほど習熟度が高まるため、ここで長く働いてもらえる工夫が求められます。具体的には、スタッフとの会話の質と量を高めるよう努めています。施設長である私自身はもとより、フロアリーダーらもスタッフと積極的に会話し、コミュニケーションをとるよう意識しています。

スタッフとはどのような会話をされていますか。

辰巳 ご入居者1人ひとりとの触れあいを大切にし、日々変化する体調などに寄り添うケアを心がけています。別の表現をするなら、ご入居者が我儘を言いやすい雰囲気作りですね。だからこそ、ここを自宅と感じて、楽しくいきいきと毎日を過ごしていただける。おかげさまで、他の施設から移って来られた方などは特に、我々のスタッフに対して高い評価をいただいています。スタッフからすれば、その分、仕事がきつくなっているかもしれません。しかし、その仕事を何のためにやっているのか、その結果がご入居者にとってどう受け止められているのか。こうした話をスタッフと繰り返すことにより、仕事のやりがいが高まると考えています。

きめ細かなサポートをするには、スタッフ数に余裕があることが効いていますね。

辰巳 仕事をしていると様々な問題が起こります。そんな時にスタッフが1人で抱え込まないためにも会話を重視しています。まずリーダーと話をすることで、問題がチームメンバーに共有されます。その結果、対応力が増し、ひいてはご入居者に喜んでいただける。こうした会話は施設運営上の貴重な情報ともなるため、できる限り記録を取るよう指導しています。リーダーはスタッフとの会話記録を見ながら、各自への対応を振り返る。その記録を元に施設長の私がリーダーと話をすることで、マネジメントのPDCA(plan-do-check-act cycle)を回すよう努めています。