医療法人社団慶成会会長の大塚宣夫氏は、自分の親を安心して預けられる施設を目標に1980年に青梅慶友病院を創設。そこで培った高齢者介護・医療の経験をもとに2005年によみうりランド慶友病院を開院した。大塚氏が目指すのは、その人の残された能力を見極め、医療の関わり方を根本的に見直し、生活の質を高めることに注力した“豊かな最晩年”の実現である。両病院はともすればホテルと見紛う居住スペースやギャラリーのような院内、豪華な食事等が注目されるが、社会を変えるという大塚氏の確固たるポリシーのもと、高齢者の医療や看護、介護について常に独自の取り組みを続け、確かな成果を出してきた。

連載3回の1回は、よみうりランド慶友病院の開院から軌道に乗るまでの経緯、その理念、日本の医学教育などについて、大塚氏に幅広くお話を伺った。

入居者や職員とのトラブルを契機に
あらためて理念の大切さを再認識

慶成会が運営されている青梅慶友病院、よみうりランド慶友病院は、“終の住処”として、入居者はもとより業界内外で高い評価を得ていらっしゃいます。まず、よみうりランド慶友病院設立の理由をお聞かせください。

大塚 設立した理由は3つあります。第一に、青梅慶友病院を設立してから20年余、青梅にありながら東京23区からのご入居者が7割であり、ご家族は片道1時間半から2時間もかけて面会に来られていて、とても大変な状況でした。加えて、例えば状態が悪くなったからと連絡をしても、すぐには来られない。そこで、もっとご家族に近い場所に施設をつくればこの問題が解決できるのではと思うに至りました。

第二に、入居されると90%以上が当院で人生の最期を迎えられますが、青梅での経験を踏まえてさらに最晩年に特化した施設、つまり高齢者専用のホスピスのようなものを作りたいと思ったことです。青梅は平均3~4年で亡くなられる方が多数ですが、新たにつくるよみうりランド慶友病院ではその最期のところに特化し、半年~1年を過ごしていただくための場所ができないかと考えました。

その成果は、いかがでしたか。

大塚 よみうりランド慶友病院は開院から満11年経ちますが、現在、当院から30分圏内からの入居者が全体の6割を占めています。入居されて亡くなられるまでの期間は、3カ月以内が4割、半年が5割強で、1年以内の方が3分の2を超えています。まさに、よみうりランド慶友病院は高齢者ホスピスに近い形になり、設立の目的が叶った形になってきています。

■資料1 入院期間