よみうりランド慶友病院の運営にあたって、開設当初から非常にご苦労されたと伺いましたが…。

大塚 かなり苦労した、というより誤算続きの毎日でした。病院の規模拡大は青梅で何度か経験していましたので、よみうりランドに病院を開設するにあたっても、その延長線上で考えていたところがあります。

誤算は2つありました。第一の誤算は入院者です。当時減少していたとはいえ、入院希望者もあり、都心に近い立地も考えれば6カ月で240床が満床になるだろうという予測のもとにオープンしたのです。ところが思ったほど入院数が伸びません。そこで早く満床にして持ち出しを少なくしたい焦りもあって、高齢の入院希望者をどんどん受け入れました。その中には大学病院並みの医療を望むご家族もかなりおられ、生活を中心とした豊かな最晩年をつくるという当病院の理念と合わないのです。怒ってご入居を退院させるご家族も次々と出て、このままでは当病院の将来はないと判断しました。

それでどのような対策を取られたのですか。

大塚 入院者をしっかり選ぶことにしました。入院相談の段階でしっかりご家族と面談をし、私たちの理念に合致する方だけを受け入れることにしたのです。当然のことながら入院者数の伸びは落ち、計画より1年遅れの1年半後にようやくフル稼働となりました。立ち上がりの持ち出しも計画の6億円から、なんと12~13億円にまで膨らむことになりました。

では、もう1つの誤算はなんでしょうか。

大塚 第二の誤算は職員です。よみうりランド慶友病院の開設に向けて160名の職員を集め、そのうち40名は青梅のベテランを移動させ、120名は外部からの新規募集としました。ところが外部から来た職員、特に医師や看護師といった医療専門職の人たちに当院の理念が伝わらないのです。病院でありながらなぜ検査がこんなに少ないのか、なぜもっと積極的に治療をしないのか、挙句はなぜ挨拶することにあれほど力を注ぐのかなど、トラブルが頻発しました。悪いことに、青梅から来たベテラン職員は、それに嫌気がさして逃げ出す人続出です。結局オープンして半年経ったところで、当院の理念に共感できない職員には10数人まとめて退職してもらい、体制の立て直しに入りました。

ともに、社会的には異端とも思える価値観を掲げ、それを実行するための代償ということでしょうか。

大塚 その通りです。よみうりランド慶友病院をオープンし、それから1年余は「こんな病院を開設するんじゃなかった」と毎日嘆いていました。このトラウマは大きく、今もって第三の病院を作るなど思いもよりません。