医療と介護の狭間で困る人たちがいる
制度が変わらなければ横への広がりはない

よみうりランド慶友病院は、豊かな最晩年をつくるという理念のもと、多くの入居者や家族から支持されていますが、こうした施設が他に広がっていかない要因をどのようにお考えでしょうか。

大塚 最大の問題は、障害や病気を抱えた高齢者が、人生の最終楽章を豊かに穏やかに過ごすには、生活・介護・医療の三機能の関与が不可欠ですが、我が国ではそれぞれの機能をサポートする公的な制度が縦割りになっていて、同じ場所で同時に得るのは難しいことです。病院は医療をするところであり、介護を受けたり豊かな生活は期待できず、介護施設では本格的な医療が必要となれば移らねばなりません。当病院は医療については医療保険でカバーされますが、質の高い生活と手厚い介護の費用は利用者に負担してもらうことになります。そうなると大部分の施設は売り手市場の中で、国の制度に、より乗りやすい道を選ぶことになり、当病院のような形態は横に広がらないのでしょう。

最もコストがかかるのはどの部分ですか。

大塚 それは何といっても人件費です。当病院の場合、保険外の収入も含め全収入の60%強が人件費に消えます。職員一人当たりの単価が高いこともさることながら、配置職員数が多いことがその理由です。しかし現時点では、これを下げれば質も間違いなく下がるように思います。課題は、生産性をどう上げるかです。

大塚先生が国や行政に望むことはありますか。

大塚 第一に、国民にむかって、老後のことは国に任せなさいなどということはやめて欲しいですね。高齢化の進展や要介護、要医療高齢者が急増し、年金も公的保険もパンク寸前なのは誰もが知っているのに、政治家と官僚は今もって甘い言葉を吐き続ける。これがかえって不安を増幅させるのです。政治的には持たないかもしれませんが、自分の老後は自分で始末せよといえば国民は覚悟ができ、すっきりします。あとは限られた財源と社会的資源を効率的に使えばまだ何とかなります。

第2回終わり(第3回に続く)