PwCは、世界158カ国に20万人以上のスタッフを擁し、監査、税務、コンサルティングなどを提供する世界最大級のプロフェッショナルサービスネットワーク。デロイト・トウシュ・トーマツ、KPMG、アーンスト・アンド・ヤングと共に、世界4大会計事務所に数えられている。

日本においては、監査およびアシュアランス、コンサルティング、ディール・アドバイザリー、そして税務、法務など、サービス領域ごとに独立した法人として運営されている。これらの法人群がPwC Japanグループを形成し、緊密に連携しながら顧客にサービスを提供している。

2017年4月施行の医療法人、社会福祉法人への監査義務化を受け、PwCあらた有限責任監査法人、PwCコンサルティング合同会社の2法人が医療機関の経営イノベーション支援を始動する。

医療法人、社会福祉法人への監査義務化とは

日本の医療法人は51,958法人(2016年3月末現在、厚生労働省調べ)あるが、これまで医療法人の監査は、社会医療法人債を発行する社会医療法人以外、公認会計士または監査法人による外部監査は義務付けられていなかった。

2014年(平成26年)6月の規制改革会議第2次答申において、「医療法人は株式会社等と比較して経営の透明性が低く、法令等遵守体制の構築が十分に担保されていない」などとし、「社会的に影響が大きい一定規模以上の医療法人について、外部監査を義務付ける」とされた。さらにこれを受け、2015年(平成27年)4月、医療法改正案が国会に提出され、厚生労働省令に定める基準に該当する医療法人は、公認会計士または監査法人の監査を受けなければならないと法律上明記され、施行は2017年(平成29年)4月からとなった。

一方、社会福祉法人は、社会福祉法に基づいて高齢者、障害者および児童等に対する社会福祉事業を営む法人と定義され、全国で19,636法人(2013年(平成25年)3月末現在)ある。この社会福祉法人についても医療法人同様、財務の透明化が求められ、平成27年4月、会計監査人の設置等を含む社会福祉法改正案が国会に提出。改正法の成立により、厚生労働省令に定める基準に該当する社会福祉法人(特定社会福祉法人)については、会計監査人の設置が義務付けられるとともに、計算書類等に対する会計監査人の監査が平成28年度(平成29年3月期)決算から適用される。

日本の医療機関に求められる財務の透明化
「医療のPwC」を掲げ、医療経営イノベーションを推進

世界4大ファームの1つPwCでは、総勢5000人のプロフェッショナルが各国の医療関連プロジェクトに携わっている。グローバルで実現した成果は、国家の基盤を支える医療保険の制度設計から、医療ビッグデータ活用による医療政策実現まで多岐にわたる。

PwCコンサルティング合同会社において医療・ヘルスケア分野を担当する詫摩氏、柴田氏、髙橋氏に、今回の医療法人、社会福祉法人の監査義務化以降の動向、日本の医療機関に求められる財務の透明化、そしてPwCあらた有限責任監査法人と組んで、「医療のPwC」を掲げ、医療経営イノベーションに取り組む意気込みについて語っていただいた。

PwC入社の経緯と現在ご担当されている業務について、教えてください。

柴田 私は、もともとシンクタンクで医療分野の政策調査や経営コンサルティングを担当していましたが、病院は「外の目が入りにくい世界」と感じていました。企業の世界で普通に行われている経営改革の進め方が、本格的に導入されることはほとんどない状況です。診療報酬の引き下げなど、病院が厳しい経営環境に置かれているとの指摘もありますが、実際には診療報酬に守られている部分も多く、自助努力による改善が促されにくかったことが、その背景にあります。

前職を含め、日本のシンクタンク系コンサルティング会社の多くは、調査を主業務としており、いわゆる公的セクターの基本政策づくりをします。これに対してPwCコンサルティング合同会社は、具体的な成果を出していくことを重視しています。つまり、調査とその報告、改善の方向性を示すだけではなく、改善・改革の実行を支援し、クライアントと共に目標を達成していくのです。我々は目の前の病院を良くすることによって、日本の医療改革を支え、世の中も良くしたいと考えています。

PwCに入社したのは5年前ですが、PwC米国でインターンをする機会があり、その時、米国の病院事業再生の案件に関わることができました。担当するプロジェクトチームの人数も予算も日本とは桁外れに大きく、そのスケールに驚きました。米国をはじめ、グローバルのPwCでは、監査法人を母体として企業活動全般にわたる総合的な展開をしています。特に医療の分野では、各国で蓄積されたノウハウ、ナレッジをベースとして、課題解決に強いポジションを築いています。

現在、日本では、総合コンサルティング会社が、医療機関の経営イノベーションを支援するケースは少ない状況です。その中でPwCは、多様なサービスを提供しており、医療でもその強みを活かしていると思います。これもまたPwCが誇れることのひとつだと思います。

髙橋 私は、PwCに参画して日は浅いですが、以前は国内の医療コンサルティング会社で医療機器や病院のプロジェクトを担当していました。

入社して強みと感じたことは、PwC海外事務所とのスピード感のある情報のやりとりです。「世界中のPwCに声をかければ、必ず答えが出てくる」という確信があります。事実、PwCは世界各国で、“PwCというブランドを共有する”という理念と信条に基づき、良い意味で、縛りがあり連帯感の強い環境で仕事をしています。困ったとき、良い解決事例はないかを探す。PwCには、これに応える装備や仕組みがあります。

コンサルティング会社の中には、分析と報告を主とし、実際の改善業務には取り組まないところもありますが、柴田が申し上げたように、PwCは実際の改革を支援するところにかなりのパワーを使います。結果、目に見える効果や大きな収支改善が現実の成果としてもたらされています。PwCの医療経営イノベーション支援は、実際の成果の出方が圧倒的であり、本質をついた解決方法を提供していると考えています。

詫摩 私は、外資系コンサルティング会社と医療系ベンチャー企業で仕事をした後、独立していましたが、3年前PwCに入りました。入社した理由の一つは、PwCが病院の経営イノベーションを支援するチームを持っていたからです。日本におけるコンサルティング会社のヘルスケア部門は、主に医薬品や医療機器のメーカーを対象顧客としていて、医療機関にはあまり関わっていないのが実態です。

私は、「日本の医療を良くしたい。そのための改革に携わりたい」とかねてから考えており、医療産業に加え医療機関の仕事も手掛けているこの組織への参加を決めたのです。

日本の医療における喫緊の課題としては、増大する医療費の適正化、そして医療のIT化を中心とした医療情報の有効活用の二つが挙げられると思います。これらの課題に取り組み、解決の道筋を見出すためには、医療産業、医療機関、そして医療費の支払い側である国や行政、保険者の3者の状況を的確に把握しアドバイスできるコンサルタントを数多く育てる必要があります。こうした観点から見ると、まだ緒に就いたばかりですが、PwCは良い方向に向かっていると思います。

グローバルのPwCでは、157カ国のほとんどで医療をテーマとしたコンサルを手掛けている社員がおり、その数は5000人程です。それぞれの仕事内容を眺めると、とても魅力的で、多様性にあふれています。例えば、医療機関の収益改善、経営改善はもちろんのこと、カタールでは、住民皆保険成立を支援しました。このような国家レベルの制度設計や、いわゆるポピュレーションヘルスの実施支援、ヘルスケア分野のIT・デジタル技術の導入支援、医療ビッグデータ・アナリティクスまで、多種多様です。これらの中には、PwCが商標として登録したナレッジや商品化したものもあります。

さきほど髙橋も述べましたが、「世界のどこかで誰かが手掛けている。PwCには必ず答えがある」。これが我々の最大の強みだと考えています。