心不全については、原因となるこうした疾患を早期発見・治療するとともに、再発や悪化を防ぐための薬物治療、生活習慣の改善に努める必要がある。また、高齢者の末期心不全については濃厚な治療で無理な延命を図るより、末期がんと同様に患者の心身の苦痛を和らげつつ、安らかにその人らしい最期を迎えることを目指した緩和ケアに注目が集まっている。

3回連載の第1回は、鳥取大学医学部 総合内科医学講座 病態情報内科学分野教授の山本一博氏に、心不全の原因となる様々な疾患をどのような検査で診断し、治療方針の決定に役立てているのかなどについて、お話をお伺いした。

心電図検査、超音波検査で
疾患の形態や機能の異常を発見

はじめに、山本先生のご専門である心臓超音波検査について教えてください。

山本 心臓の病気が疑われる症状を訴えて受診された場合、私たちは問診でどのような症状がいつ頃から起こっているのかなどを詳しくうかがった上で身体所見をとり、通常はまず心電図検査、胸部X線、心臓超音波検査を行ないます。

心臓超音波検査は、胸の上から探触子(プローブ)と呼ばれる小型の装置をあてて、そこから超音波を出し、心臓に当たってはね返ってきた反射波を受信することによって心臓の形態、機能、血流などを調べる検査です。患者さんが放射線被ばくなどの健康被害を心配することなく、治療方針を決定する上で役立つ情報が得られる利点があります。

通常、行われるのは胸の上からプローブを当てる経胸壁エコーですが、ケースによっては臓器や骨が重なって見えにくいところがあり、その場合、食道に入れたプローブにより心臓を裏側から診る経食道エコーを行ないます。また、まだ一般的とはいえませんが、心臓の中に小さなブローブを入れて心室や心房などの形態や機能などをみる心腔内エコーも開発されています。

日本では、以前から狭心症や心筋梗塞が疑われる場合、冠動脈の中に挿入した直径1mm以下の細いプローブにより血管の内側から動脈硬化の進み具合をリアルタイムで調べたり、PCIの際に留置するステントのサイズを決めたりするため血管内超音波検査(IVUS:アイバス)が利用されており、PCIの治療成績向上に役立っていると指摘されています。