2011年に外科系の専門医制度と連携した症例データベースNCD(National Clinical Database)が開始され、今や外科医が行う手術の99%をカバーするまでに至っています。また、冠動脈疾患については、冠動脈バイパス術とPCIの症例登録も進んでいて、より正しい適用が明らかになっていくのではありませんか。

新浪 こうしたレジストリーに入らなければ、PCIをやってはいけないぐらいの強制力を発揮すべきです。外科に関しては登録をしないところは心臓血管外科認定施設から外されるので、100%近くが登録をしています。その上で、出てきたデータを基に善し悪しを判断することが重要です。執刀する医師全てを参加させることから始めなければ、世の中で何が起こっているのかわからないままです。

PCIの適応について緩い病院ほど成績は良くなり、経済的にも潤う状況です。これを適正に使うことで潤うよう、そのシステムや仕組みを変える必要がありますね。

新浪 その通りです。内科からすれば外科の立場など考えている暇がない。自分たちが数多く実施しなければ儲からないシステムになっているため、外科に回している余裕はないでしょう。この話を地方の内科医にすると、「日本のシステム上、しょうがない」と返されることも多かったのですが、ただ、最近になってようやく内科でもそのことに気づき始めたと感じています。

日本にはPICをメインに行っている施設が1300あるといわれています。単純に考えて、1300施設に流通させるだけでも膨大なコストになります。

新浪 海外から輸入している医療製品を例にとると、例えば植込み型人工心臓は日本では保険適応で償還されますが、治療費は入れず製品だけの価格で2000万円以上します。これはドイツでは半額程度となっています。この違いは、ドイツでは病院とメーカーが直接製品をやり取りしますが、日本ではプロバイダーが入ることも一つの理由です。もちろんプロバイダーのおかげで様々な医療機器や情報をすぐに入手できるので、私たちが助かっていることは事実です。しかし、そこから手を付けていかなければ、日本の医療費はどうにもならないところまで来ています。

厚労省はこうした事実が医療費を圧迫していることは百も承知していますが、無駄を節約するという観点から考えると、全体の中では大きな比率は占めていないものは後回しにされているのではないかと感じます。その一方で、日本は国民皆保険で国民から徴収した財源で医療を賄っているので、全体のわずか100分の1でも節約できるのであれば手を入れるべきです。こうした小さなことの積み重ねが重要で、実際大きなことはなかなか動きません。目の前のできることから始めて、施設や専門医の集約化も、それによって医療費が削減できるのであればやらなければならないと思います。

各領域でそれぞれ集約化していき、次に歩いて行ける距離に総合病院が必要なのかどうかも考えていく。それがこれからの日本の医療を考えていく軸になる気がします。

新浪 そうした建設的な話が必要です。心臓外科を行う施設は世界的に見るとドイツが最先端であると言われており、彼らは100万人に対して1施設という計算で病院を設置しています。但し、日本でもそうすればいいという単純な話ではありません。全体を俯瞰し、オールジャパンで考えなければならない時期が来ています。

第4回終わり(連載4回)