GEヘルスケア・ジャパンは2017年4月7日(金)、東京・赤坂の日本GE赤坂パークビルにおいて「2017年成長戦略発表会」を開催した。同社の成長戦略は医療の抱える問題に対し、その解決策としてどのような製品やサービスが提供していくのかを提示。医師の偏在、平均寿命と健康寿命のギャップ、そして地域包括ケアシステムの円滑な実施に至るまで、現在の医療における問題点や医療制度の変更点を検証し、そこに新たなツールを提供することで成長を目指すとしている。

医療の抱える課題を解決する企業への転換

冒頭、GEヘルスケア・ジャパン代表取締役社長兼CEOの多田荘一郎氏は「新時代のパートナーシップおよびデジタル戦略~持続的で質の高い医療を提供するために~」というテーマで講演。この中で多田氏は日本の医療の課題として、次の3つを挙げた。

■日本の医療における様々な課題

①患者・国民の課題 ②医療機関の課題 ③政府・自治体の課題
寝たきり・要介護への不安
高齢者に多い併存疾患
働き盛りを襲う疾病
医療人材の不足・偏在
医療の質と生産性
医業収益の改善
健康寿命の延伸
診療科・施設・職種連携
医療・健康データの利活用
医療・介護産業育成
多田荘一郎氏
代表取締役社長兼CEO
多田荘一郎氏

多田氏は、①患者・国民の課題について、「要介護の原因疾患が脳卒中と心疾患で25%、これにアルツハイマー病の21%を加えると全体の46%を占めることに着目している」と述べ、GEヘルスケア・ジャパンとしてもこれら疾患にフォーカスしていくと強調した。また、複数の疾患を抱える高齢患者の増加に伴い、例えば循環器疾患とがんを併存した患者の治療では、どちらを優先させるかなど、治療が複雑化していることを挙げ、医師も専門化している中で併存疾患をどのように治療していくかを考えなければならないと述べた。

次に、②医療機関の課題については、医療人材、特に医師が今後起こる医療提供体制の改革に伴い急性期から回復期やリハビリテーションへと移行する際に、インセンティブやモチベーションはあるのかと疑問を呈した上で、「質を維持したまま生産性を向上させる連携システムが必要だ」と、自身の考えを述べた。

また、③「政府・自治体の課題」については、平均寿命と健康寿命のギャップ(男性9.13年、女性12.68年)をどう埋めていくのか。併存疾病の患者が増加する中で、治療を意識した診断が求められることを指摘した。

これに加えて多田氏は、医療・健康データの利活用をテーマの一つとして挙げ、「どれだけ質の良いデータを取ってこられるか。一企業や一業種にとどまることなく、他業界ともアライアンスを組んで集めていきたい」と抱負を語り、同社がイニシアチブを取って、医療ビッグデータのプラットフォーム作りに参画していく姿勢を示した。

最後に、同社取り組むべき課題として、「アカデミックケアエリア2」「製品+サービス」「デジタル×IT連携」という3つのキーワードを挙げた。一つ目のアカデミックケアエリア2とは、複数の疾患にまたがった患者を診る、あるいは複数の診療科や学会を繋ぐという意味で、「例えば、金沢で開催された日本循環器病学会と、関西で開催された脳卒中学会が会場を繋いで議論し合うようになっている。別々の診療科に進んだ医師が最終的に立ち向かっていくのは、併存疾患を抱えた同じ患者だ。我々も複数の疾患を同時に診るためには、技術的に何が必要なのかを考えていく」と述べた。

二つ目の製品+サービスは、これまでのように壊れたから修理するのではなく、病院に役立つサービスを提供することが求められる。そのために重要になるのは3つ目の「デジタル×IT連携」というキーワードだ。「地域包括ケアシステムが動き出せば、これまで施設単位で診ていた患者を地域単位で診ていくことになる。ここにどう貢献していくかを考える必要がある」と述べた。デジタルを活用し他業界と繋ぐことで、患者や医療機関に意味のあるデータを提供していくことが可能になる。多田氏は、そのプラットフォーム作りに注力すると結んだ。