では、正しいマーケットとは何か。一般分譲と同じ、このケースであれば、地域の価格上限5000万円をつけることがエリア慣習にならっていることになり、ここでできるのは専有面積を縮めることだけです。4人で住むファミリー向けには70㎡が必要でも、1人か2人で住むシニアにとって、本当に70㎡という広さは必要なのか。そこはきちんと突き詰めて考えることが求められます。共用部が多いことで単価は上がるため、50㎡のものを5000万円で作れば、当初の価格は維持しやすくなると同時に、そのエリアで見慣れた価格となり、買う側にとっても「食事等のサービスや大浴場が付いているのであれば」と納得していただきやすく、中古マーケットをしっかり創ることができます。

マーケットの持続的成長という観点を無視し、自社が作りやすいものを売る事業者は、将来的には、大きなしっぺ返しを受けることになります。つまり資産下落率が大きな会社という望ましくないレッテルです。その広さは本当に必要なのか、常にお客様と対話し、業界が一丸となってマーケットを築く必要があるということです。

運営上の課題とは何でしょうか。

松本 運営上での大きな課題は、管理組合運営と食事運営だと考えています。まず、管理組合運営ですが、一般分譲同様の管理組合運営か、第三者管理とするか。これも複雑に考える必要はないでしょう。シニア分譲を購入されるお客様は70歳前後と若く、自らのマンション価値を維持するための管理組合運営は、一緒に行える活力を持っています。この活力を無視し、第三者管理で進めようとすると、不信感が強くなり、所有者と運営者の関係が崩れる要因、火種となり得ます。将来、その活力が失われた際に、第三者管理の可能性を残しておく。そのように考えるべきだと思います。

また、食事運営ですが、シニア分譲の購入者が70歳前後のため、夫婦共に元気で食事も普通に作れるから、食堂があっても今は利用しないという人が多くなります。ただ、その中には80歳の人も混在する。そうすると、この人たちは食堂が欲しいが、70歳未満の人たちはいらないとなります。これを将来、自分にも必要になることを理解し、相互扶助の観点で食堂をみんなで切り盛りしようという気持ちになって購入していただかなければ問題が起こります。

このように利用しない方もいる中で、マンション全体の資産として維持している例は、一般分譲でもあります。例えばエレベーターも1階に住む人たちは使いませんが、修繕費は払っている。これもマンション全体が自らの資産ということに納得して支払うものですが、それが嫌なら買わないでいただく、という強い意志を持ち、市場に理解してもらって供給しなければ、シニア分譲市場はそこで破綻します。

事業者は、このようにマーケットを俯瞰し、全てにおいて「資産」が下落しにくい仕組みを中身に組み込まなければなりません。それは、事業の継続性、つまりマーケットの確立に繋がっていくのです。

第2回終わり(第3回に続く)