コンシェルジュ、フィットネス、営業に加え、
食を切り口に入居者との接点を

地域コミュニティも大切ですが、「OUKAS 船橋」の中のコミュニティづくりについてはいかがですか。

松本 私たちはご入居者と、3つの接点を作ることを考えています。1つ目は、ケア知識を持ったコンシェルジュを配置することで、体から生活全般の相談に乗れると同時に、このコンシェルジュを中心としたコミュニティができます。

2つ目は、前述した館内のフィットネススタジオに置く専任スタッフです。週4日、ご入居者に対して行う個別のアドバイスに加え、体の異常の検知、体力測定、健康診断も実施する予定です。入居者全員が来られる仕組みを作ることで、ここでも健康づくりを中心としたコミュニティが生まれます。

3つ目は、営業人員が同時に運営をサポートする仕組み、つまりサポートスタッフの存在です。もともとご入居者にとって最初の接点は営業の人間で、ご入居を決めていただく理由の中には、「Aさんがいるからこの家に決めた」ということもよくあります。そこでご入居者が話しやすく、相談しやすい雰囲気づくりができるよう、営業を兼ねた運営の人間を館内に常駐させることにしました。入居時から知っている人間がいることで、ここでもまたコミュニティづくりに働きかけができるのです。

食べることも健康づくりに欠かせないものですが、これについてはいかがですか。

松本 食堂会社を決める際、大手か評判かという二つの切り口がありますが、私たちは評判の良さで選定を進めました。いくつもの高齢者施設を見学する際、そこで使っている食堂委託会社を聞いて試食をさせてもらい、まず12社を選定。その中で和食から麺類、イタリアンに至るまで、様々なカテゴリーの食事を実際に食べさせてもらって、これはと思う1社を選定し、現在交渉を行っているところです。

食事事業のポイントとは何でしょうか。

松本 食堂のオペレーションは面白くもあり、かつ非常に難しいものです。例えば、食事を和と洋の2つから選べる、レストランスタイルで運営している高齢者住宅があります。これは満足度を高めるために取り入れたことでしょうが、2種類用意することで廃棄コストがかかるため、1種類の場合と比べ、全く同じクオリティの食事でも、ご入居者にお支払いいただく金額が上がります。

そこで私たちが考えたのは、毎日メニューを変え、365日食事をご用意するにあたって、本当に2種類が必要なのか。そうであれば、食事は1種類とし、それが嫌いだったときに別メニューを頼める仕組みを提供すれば良いのではないかということでした。当然、別メニューにも別途料金がかかりますが、うどん等の麺類、各種丼ものやステーキなどをご用意することで、廃棄コストのかからない純粋なコストの食事をご入居者に提供できます。

味に加えて、もう一つ、先ほど接点という話をしましたが、食事でも同じことが言えます。通常、厨房に入ったスタッフはご入居者から見えなくなってしまいますが、彼らも表に出て入居者との接点を持つことが大事です。例えば、食材や栄養の話、こだわりなどを紹介する。時には食のセミナーを開催してご入居者の意見をお聞きし、「味噌汁の味噌はこれに替えてみよう」といったように、食を切り口にすれば、そこでまたご入居者との様々な接点が生まれます。「OUKAS 船橋」ではご入居者の声を聞く仕組みとして、食に対する委員会の設置なども考えていきます。

厳選された素材を用い、季節感や彩り、管理栄養士によるバランスにも配慮した手づくりの食事を提供する

食事の他にも、住まい方の変化に合わせた配慮がなされていますね。

松本 OUKASの最大のテーマは、できる限り早めに入居して、健康維持・増進への意識を高めていただくことにあります。そして、そのテーマが叶うことで、ご両親に積極的に入居して欲しい住まいと、高齢者住宅そのものの概念に変化を及ぼすことです。介護住宅とは違い、ご夫婦2人での入居が増えるため、1人向け住戸を58室、ご夫婦や兄弟・姉妹といった2人向け住戸を67室ご用意しています。例えば、ご夫婦で入居されてからどちらかが先に亡くなられたとき、ここは広いと思ったら1Rに住み替えても、そのまま住み続けていただいても構いません。こうした変化に対応できるよう、建築段階でしっかりと考えている点も、ディベロッパーだからこそできる大きな強みの一つといえます。

第3回終わり(第4回に続く)