住民が行きたい病院と
医師が行きたい病院は一致する

報告書によれば、(1)神栖済生会病院を新病院として、約350床程度に増床、(2)鹿島労災病院跡地に新築、(3)2病院の中間地点に新病院を開院という、3つの再編パターンが示されています。住民説明会を終えた今、どの案に落ち着くと思われますか。

家城 (1)案で進むことがほぼ決まっています。これは協議会の中で確定すれば決まり、3回の住民説明会後、再度協議会を開いて茨城県知事にも報告しています。

新病院の人材の配置はどうされますか。

家城 実際に決めるのはこれからのことですが、統合のための準備委員会を設置し、この組織が2病院で異なる給与体系や人材の配置などについて詳細を詰めていく予定です。

医師の配置については、先ほどお伺いしたように大学の引き上げといった問題もありますが、そのあたりについてはいかがですか。

家城 全ての人材に対して、受け入れて行く方向で進めています。個々の対応になると思いますが、大学の医局や理事長といった方々とも会ってお話をさせていただいている段階です。

家城先生ご自身としても、(1)案で進むことがベストだとお考えですか。

家城 老朽化して労災病院を建て直す(2)案と、両病院の中間地点に新病院を建設する(3)案は建築費用を考えると、現在の病院に増築する(1)案と比較して非常に高額になるため、市の人口が多く集まる(1)案が妥当だと考えています。地域の入院患者の約6割は市外もしくは県外に入院していて不便な思いをしているため、やはり市内で治療し入院できるよう準備したいと思っています。そのためには現在のベッド数ではとても無理です。小さい病院で高度な医療が提供できればいいのですが、実際には非常に難しい。それは軽自動車が高級車にならないのと同様の理論です。

例えば、軽自動車がいくら素晴らしいと言っても、お金のある人は大きくてゆったりとしていて機能性の高い車を求めます。一方で、そこに手が届かないから軽自動車に乗る人もいるでしょう。それと同じで、他にないから仕方なく小さい病院に行く人もいますが、それですらその病院に力がなければ通ってくれません。小さいままで、多くの人に買ってもらえる優れた機能を備えたものを作るのは並大抵のことではない。コンパクトな病院には、CTやMRIはなくてもいいというわけにはいかないからです。

多様な最新医療が提供できる設備をつくると、自動的にそこそこのボリュームになります。その採算を合わせるためには、それなりの入院患者がいないと経営が成り立ちません。200床以下で設備の整った魅力ある病院をつくることは、相当努力しなければ実現できないと思っています。

また、医師が行きたくなる病院というのも、車で言えば大型の高級車です。軽自動車はいくら性能が優れていると言っても、その魅力を伝えるのは難しいことです。統合して増床するのもそれのみが目的ではなく、新たに大きな病院となることが医師をリクルートするときにも非常に良い方法だからです。

青沼 医師も小さい病院には行きたがらないですね。コンパクトで何でもあると言われても、小さい病院で医師も少ないのであれば馬車馬のように働かされるのではないかと思ってしまいます。中には高額の報酬で働くという医師もいるでしょうが、現代の医療ではカリスマ医一人で出来ることより、チーム医療として出来ることの方が重要になっています。

住民が行きたい病院と医師が行きたい病院は一致しますね。また、医師にとっては大学を出た後も学べる環境があることは大きいですね。

青沼 その通りです。また、地域の住民から見ても、例えば茨城県なら筑波大学が全面的にバックアップしているという見え方は重要で、筑波大学から優れた医師が数多く来ている病院なら行きたいとなるでしょう。これからはバックアップ体制や教育体制といったことも、患者側が病院を選ぶ際の基準になると思います。

第1回終わり(第2回に続く)