学ぶ気持ちを持った研修医には
大学との繋がりは大きな魅力

筑波大学附属病院神栖地域医療教育センターの体制や活動状況について教えてください。

家城 センターの内科系常勤医師のポストは5名ですが、現在は3人のため、新たにセンターの教員を探しているところです。現在は筑波大学から合計6人の内科系常勤医師が来ています。この6人はいずれも指導医として教えられる力を備えていますが、神栖地域医療教育センターは昨年設立されたばかりなので、現在の研修医は2~3人程です。

青沼 来年度から初期研修医や後期研修医が多数集まると考えています。

筑波大学が展開する教育センターは、済生会病院としては珍しい取り組みといえますか。

家城 病院数が多いので他県のことはわかりませんが、茨城県としては初めてです。

家城先生は筑波大学のご出身であり、やはり水戸協同病院での成功事例を見て、神栖地域医療教育センターを設立しようと思われたのですか。

家城 いいえ、水戸協同病院については知りませんでした。私は兵庫医科大学胸部腫瘍学特任教授を経て、茨城に戻ってきました。その前は兵庫県の田舎にある公立豊岡病院で総合診療部長を務めていましたが、いかに医師を確保するかで苦心しました。ただ、医師を集めるためにはどうするかはわかっていたので、水戸協同の事例は知らなかったものの、手法は似ているところが多いと感じます。

例えば、小さい病院に行くと十分な教育を受けられず力もつかない、あるいは研修を終えた後で大学に戻れないのではないかと不安になる人もいる。一方で、小さい病院を望む人は、大きい病院はストレスがかかって大変だから、小さいところでのんびりやりたいという精神的な安定を求める医師もいます。このように研修医は様々な考え方を持っていますが、私たちが求めるのは活気があって懸命に勉強したい人です。

そうした人たちに来てもらうことを考えると、やはり大学との繋がりがあることは大きく、研修後も戻ってこられるし、共に学んだ仲間もいるという選択肢が残っている方が研修医にとって安心感があると思います。

研修医は来年度から増えると伺いましたが、筑波大学を行き来するなど、学ぶ機会を設けているのですか。

家城 昨年は日本医科大学、筑波大学、順天堂大学などから受け入れました。その中で筑波大学からの研修医は、2~3カ月の研修期間の後に筑波大学の中で、ローテーションを組んでいました。例えば内科で研修を受けて、また大学に戻るという形です。本年度はここに研修医の数をさらに増やして対応したいと思っています。

他大学との連携の中で受け入れ、昨年度からは教育センターができたので研修医の人数を増やし、後期研修医も受け入れるという流れですね。ところで家城先生は、神栖地域医療教育センター長と神栖済生会病院副院長を兼任されています。神栖済生会病院は医師が定着しやすい病院でしょうか。

家城 先にお話したように、私は茨城に戻ったばかりで神栖済生会病院は短いため、そのあたりは詳しくありません。この地域は大都市から遠く、また、鉄道などの公共交通機関が発達していないので、他の地域から定着して取り組む医師はあまり多くはないと思います。現在の神栖済生会病院は医師数も少なく、稼働病床や設備についても不十分で医師にとって魅力のある病院とは言えません。ただ、神栖市は面白い地域で工業地帯であるために若い労働人口が多い。茨城の中では最も人口が減少しにくく、しばらくは増加傾向にあります。人口当たりの医師数はかなり少ないので医療過疎と言えますが、大企業の支社や工場が多く、経済や文化といった面では過疎ではありません。

また、住民票を移してない人が多いことも特徴です。神栖市の人口は約9万人ですが、例えば6月頃から工場のプラントを一旦休止して点検整備に入るため、一時的に多いときで人口は30万人まで膨らみます。