心不全予防のカギは減塩
幼少期からの習慣付けも必要

これからの課題は、まず心不全予備軍の発症を防ぐことと、その前段階となる予備軍にさせないことだと思います。そのためには何が必要でしょうか。

ただ、減塩はあくまでも高血圧の予防であり、コレステロールや中性脂肪を抑えるのは動脈硬化の予防、肥満は糖尿病の予防です。これら生活習慣病の予防とタイアップする形で心不全をアピールする必要があります。厳密に予防という意味では、心不全そのものの予防法は、恐らくありません。

なぜなら、何らかの疾病により引き起こされる病態が心不全だからです。血圧が高くて心臓の動きが悪い、糖尿があって心筋に問題があるなどの要因が、結果的に心不全を引き起こします。だから、心不全に繋がる病気を予防することが、結果的には心不全の予防に繋がります。

結局、心不全は病気ではないことが、一般には理解しづらく、予防も難しくなるわけですね。

塩分が高血圧に繋がることは広く理解されているので、まず減塩を徹底的に訴求する。同時に、心不全についての理解を深めること。特に心不全は死に至る恐ろしい病態であることを知ってもらう努力も不可欠です。一昔前なら、心不全や心筋梗塞など心臓の病気で亡くなる人が多数派でした。ところが現在は、死因の第1位はがんに変わっています。

一方で心筋梗塞は、ほぼ確実に治る病気になりました。急性心不全も、内科的な治療を施せば、一旦は症状が収まる。仮に急性心不全で運ばれても、少し入院すれば元気になって帰れるといった受け止め方をされているはずで、こうした認識を変えるのは簡単なことではありません。

実際、胸が苦しくなって入院しても、わずか2~3日もすれば、とりあえず元気になります。退院してしまえば、悪かったときのことは忘れてしまう。そのため心不全患者にはリピーターが多く、それは自宅での自己管理が難しいことを意味します。

減塩のPRを通じて、自己管理の重要性を訴求することが重要ですね。

日々、自分がどれくらいの塩分を摂取しているのか、一度、見える化してみることが必要です。さらに塩分摂取に関しては、可能な限り早い時期から抑えていったほうが良い。小学校の給食などは、管理栄養士が計算していると思いますが、問題は家庭での味付けです。

今、子育てをしている人は、子ども時代の味覚の形成期に、塩分控えめでも美味しいと感じられる味覚を養ってあげて欲しいと思います。現時点での高齢者対応も必要ですが、心不全に関しては、若い頃からの塩分摂取量を抑えることが、先制医療にも繋がると考えています。

第2回終わり(連載2回)