患者に行動変容を起こす
遠隔モニタリング

ICTを活用した遠隔管理について、詳しくお聞かせください。

野出 当初、少数例をシングルアーム(単一群)で行った結果、従来の何もしない人に比べると、血圧、体重を遠隔モニタリングした群では、心不全再入院率が低下しました。この時から健康計測機器メーカー・タニタの社長が佐賀大学出身で知人でもあったことから、送信機と血圧計と体重計がセットされた同社の健康機器を使用しています。これである程度の結果を得たため、さらに検証することにし、厚生労働省科学研究事業の採択を受けて、多施設で前向きにランダム比較介入研究を行うことにしました。

エントリーされた180例のうち、一方の90例はタニタの機器で毎日モニタリングし、残り90例は通常の治療を行って、1年経過を見ました。その結果、遠隔モニタリングをした方が再入院は減る傾向にあったものの、有意差はありませんでした。これは、参加した施設が大学病院や大病院であり、対照群でもインテンシブに有意差がなかったのです。

現在、論文を投稿していますが、医療機器の検証と同時に、入院しても在院日数が減るのか、医療費が減少するのかといったコスト計算も行っています。ただし、もっと現場で検証することが必要で、そもそも大学病院に通院している患者は自己管理を意識しているので、体重や血圧などは下がります。むしろ、かかりつけ医にかかっている患者をモニタリングした方が効率的ではないかと考え、佐賀県内で始めたのが「S-HOMES」です。