大学病院の外へ出て
地域と顔の見える関係を構築

野出先生は佐賀大学医学部循環器内科のホームページの中で、「循環器医療の多元的包括的管理には多職種によるチーム診療が不可欠」と述べています。野出先生が実践されている循環器のチーム医療について教えてください。

野出 私たち循環器内科と心臓外科は、VADの植込みやTAVIの治療において連携して取り組んでいます。また、心不全のケアには職種を超えた連携が必要なため、心臓リハビリテーションチームには医師以外に看護師や薬剤師、運動療法士、心理療法士、臨床工学士などが入り、多職種合同のチーム医療を行っています。これが病院の中の連携です。

私が地域連携室長時代に感じていたのは、院内にソーシャルワーカーが在籍していても、他病院の顔が全く見えないことでした。やはり関連機関やクリニックに出かけていき、互いに顔が見える形にしていく連携が不可欠です。ところが大学病院のソーシャルワーカーは外に出られない規約があったため、外出できるようにしていただきました。

それが病院外の連携ですね。

野出 その通りです。だから第2回の中で述べたように、うちの看護師は訪問看護ステーションに同行するのです。それまでは看護師が出かけていくという考え方がなく、医師の往診もないため、それでは地域の中で大学病院は馴染んでいきません。まずソーシャルワーカーが出ていって、地域での広がりを構築していく。そうでなければ地域の開業医や他病院との本当の連携はできません。

多職種合同のチーム医療を実践されていると言われましたが、日々の情報共有はどのようにされていますか。

野出 週1回は心不全のカンファレンスを行い、全職種が参加して情報を共有します。超音波技師が診断し、看護師には相当権限を与え、それぞれがプロフェッショナルな立場において責任を持って取り組むことを求めています。

各々プロの責任で取り組んでいく、その中で野出先生はどのような役割を担われますか。

野出 現場の先生たちが1番困っているのは、本当に在宅のままでいいのか、本当は病院に行った方が良くなるのではないかといった家族の声です。私たちの仕事は、循環器内科医として判断をし、「自宅に戻っても大丈夫だ」というお墨付きを与えることであり、最終責任を持つことです。それさえ担保すれば、あとは現場の先生がされることなので、在宅医療に対する家族の不安はなくなります。もちろん私が病状説明を行うケースもありますが、家族に「この人は入院するよりも家にいた方がいい」とはっきり伝えることで家族も安心できます。

時に、在宅医療では家族の負担が大きくなることがあります。その場合、近くの病院を紹介したり、あるいは入院できる個人病院を患者やその家族が知っていればそこに入ってもらいます。やはり、老健施設などで受けていく方向性にならなければ、今の病院の制度の中ではとても保ちません。