心不全啓発キャンペーン サポート企業インタビュー1

2018.03.09
ベストな治療ストラテジー構築に向け
診療科を超えた議論が深まる 第1回

急性期と後期の間を埋める
デバイスの開発を検討

では、テルモの心臓病領域の取り組みで課題がありましたら、お聞かせください。

鮫島 近年、大阪大学大学院医学系研究科心臓血管外科教授の澤芳樹先生とハートシートに取り組み始めたことで、テルモとしても最先端医療にコミットしていく姿勢を打ち出しました。

ただし、心不全に対して幅広く手がけられているかというと、まだまだこれからです。例えば冠動脈虚血は急性期の病態で、そこから心機能がだんだん失われていって増悪を繰り返しながら心不全になる中で、ハートシートはやや後期のソリューションです。将来の可能性について少し触れると、この間を埋める部分でも、デバイスとして貢献できることはないかといった話は内部で検討している段階です。

つまり心不全の初期と後期の病態の間を埋める、そこに役立てられるデバイスの開発ということですね。そこは何か具体的なイメージは描かれているのでしょうか。

鮫島 いいえ、まだ検討を始めた段階です。具体的な話が出てくれば、先生方のご意見を伺ったり、弊社だけでなく外部の技術も含めて可能性を探りたいと考えています。

今後、さらに注力していきたいと考えられている領域はありますか。

鮫島 血管事業への成長は加速させます。弊社では心臓そのものではありませんが、胸部の大動脈瘤、大動脈解離に対応する人工血管の製造・販売を行っています。加えて、胸部のステントグラフトで優れた製品を持つ米国Bolton Medical社を2017年3月に買収したことで、この領域におけるラインアップは広がりを持つと考えています。

ステントグラフトとはどのようなものですか。

鮫島 大動脈瘤の治療は外科的に人工血管を縫い付ける方法が一般的ですが、ステントグラフト内挿術と呼ばれるカテーテルを使用して治療する方法もあります。ステントグラフトというバネ状の金属を取り付けた人工血管を、大動脈瘤がある血管に置くことで、瘤への血液の流入を防ぎます。

運転中に大動脈瘤もしくは大動脈剥離で亡くなった人のニュースは記憶に新しいところです。

鮫島 大動脈解離や大動脈瘤は、動脈硬化、高血圧、糖尿病など多様な要因が関係すると考えられています。また、大動脈の病気に限らず、生活習慣病から様々な循環器の病気を発症するとされていますので、日本人にとって、がんと並んで循環器病は重大な疾患になっていると感じます。

診療科の垣根を超えた連携で
ベストな治療ストラテジーを構築

弊社が事務局を務める「これからの心臓病医療を考える会」の中で、外科と内科の連携、ハートチームのあるべき姿なども、よく議論されるテーマの1つですが、これについてはどのようにお考えでしょうか。

鮫島 専門性を持った先生方の連携やハートチームのあり方について、私たちのような医療機器メーカーが、こうあるべきだと言えるものではありません。ただ、先生方とお話ししていると、患者さんにとってベストな治療ストラテジーを構築するために、診療科を超えて治療にあたる先生方が増えつつあるのではないかと感じています。

例えば、冠動脈が詰まっていれば開ける手法が必要で、そこには専門性が生じるし、脈に異常があれば電気生理的に直さなければいけない。一部、前述した胸部のステントグラフトも手技そのものはインターベンションのアプローチではあるものの、外科の先生も取り組まれています。最近では大動脈弁をカテーテル的にされている外科の先生、循環器専門医が下肢も手がけるケースがあります。

また、先日開催された脳神経外科の学会では、循環器内科の先生がゲストスピーカーとして招聘されていました。脳神経外科も循環器内科も、術後の血栓症をどう防ぐかという同じ悩みを抱えているからこそ、共に議論を深め、情報を共有されているのだと思います。

第1回終わり(第2回に続く)