虚血性心疾患は減少傾向に
女性の高血圧性心不全が増加

御社は、心不全をはじめ、心臓疾患領域に数多くの薬を展開されていますが、心不全における課題をどのように捉えていらっしゃいますか。

飛田 心不全は心筋梗塞や狭心症などから発症するイメージがありますが、実は、こうした虚血性心疾患は生活習慣への介入によって減少傾向にあります。問題は、女性の高血圧です。男性は女性に比べ、比較的、健康診断を受ける機会が多く、高血圧に対する薬物療法を受けています。一方、女性の高血圧の一部は未治療の場合が少なくありません。長年、高血圧をそのままにしておくと、心臓に負荷がかかり、その結果、60歳以降の女性の高血圧性心不全が急激に増えています。

女性の高血圧というと、年齢によるものと思いがちです。

飛田 高血圧は塩分の多い食事やストレスなどの生活習慣病によるものが多く、それは男性も女性も同じです。虚血性心疾患は、前述した心筋梗塞や狭心症など、男性の発生率が高いものの、高血圧だけで見ると高齢者では男女差はほぼありません。血圧が高い程度では自覚症状がないことも多く、受診の機会もない。また、受診して血圧が高いだけでは、一般的にはエコー検査を行うことも稀でしょう。

しかし、エコー検査をすれば心臓に関する多くの情報が得られ、心不全のリスクなども予測することが可能です。女性も日常的に血圧を測り、必要に応じて生活習慣の改善と薬物療法を考えていくことが重要です。また、女性は閉経後、ホルモンバランスが変わり、保護的に働いていたホルモンが減少するため、閉経後の脂質異常症を放っておくと心筋梗塞の発症率も高くなります。

心不全を正しく理解し、血圧をきちんと管理すれば心不全の一原因を避けることができますが、高齢女性の高血圧は見落とされがちで、こうしたことをいかに啓発していくかが課題となっています。