医療者のスキルアップの場を提供
かかりつけ医の治療方針は多様

前回は、脳・心・腎を1つと捉えた診断や治療の重要性についてお伺いしました。特に、地域かかりつけ医は、こうした考え方で患者を診ることが大切ですね。

飛田 多くの高齢者を診療されている、かかりつけ医の先生の役割は非常に重要です。そこで私たちは脳と心臓と腎臓を意識した情報提供を心がけています。ただ、正直なところ、かかりつけ医の先生方の考え方は現時点では千差万別であり、治療のあり方も多様です。例えば、血圧の薬を投与する際、腎機能、心機能の検査(採血、検尿等)に対する考え方も異なりますし、長期にわたって診ている患者さんの心機能・腎機能・認知機能等に関する検査の頻度・あり方にも差があります。

私たちは製薬会社として適正使用の観点から「高齢者は腎機能が急激に落ちることがあるので定期的に腎機能を測定してください」と提案しています。心不全患者の予後を悪化させる危険因子の1つは腎機能です。同じ心不全の重症度であっても、腎機能が悪い人は予後も悪い。腎機能は悪化しなければ顕在化しませんが、悪化させないためにも定期的な採血が重要です。

採血することで、一時的には医療費は増えますが、莫大な医療費がかかる透析は回避出来る可能性があります。糖尿病の腎症重症化予防では採血や検尿が重要であり、ある年齢を超えたら定期的に採血や検尿をすることで、早めの介入が可能になります。

御社が、脳・心・腎というアプローチで医療者に対して情報提供を続けてこられ、その手応えは感じていますか。

飛田 心不全という病気はどうしても漠然としています。そうした中で、弊社では2010年頃から年1回、現在に至るまで継続して開催しているのが、Heart Failure Theme Parkという研究会です。この会は、代表世話人の日本大学医学部附属板橋病院循環器内科主任教授の平山篤志先生、尼崎中央病院副院長で循環器内科部長の安村良男先生、東京慈恵会医科大学循環器内科学講座教授の吉村道博先生のほか、12名の世話人で組織された世話人会で毎回のテーマを決め、これに応じたスペシャリストをスピーカーに招聘。これまでに心拍数の問題から重症心不全の定義、虚血性心不全、心房細動など、様々なテーマについて幅広く取り上げてきました。

時代の変化と共に、医療機器の発展や薬物療法の進歩など心不全は早期介入によって相当改善する、あるいは重症化させないところまできました。こうした研究会を継続することで、重症心不全治療を様々な医療関係者とどのように連携していくのか、移植をどう位置づけるのか。そのあたりがクリアになっていくのだろうと感じています。

このHeart Failure Theme Parkは、医師を対象とした研究会ですね。

飛田 参加者は専門医をはじめ、そのときのテーマに興味を持った開業医などが参加される会です。Heart Failure Theme Parkは、心不全のスペシャリストや第一人者によって熱いディスカッションが続くため、毎回終了時間をオーバーするほど白熱する会となっています。