■トーク・セッション
座長:斎藤能彦氏 奈良県立医科大学第一内科学教室教授
パネリスト:野出孝一氏 佐賀大学医学部内科学講座主任教授
      筒井裕之氏 九州大学大学院医学研究院循環器内科学教授
      澤 芳樹氏 大阪大学大学院医学系研究科心臓血管外科教授

○質問2
最初は人間ドック、負荷心電図異常で、全く自覚症状がないが検査したら冠動脈が狭くなっているので、今週心臓カテーテル手術を受けることになった。大げさな気がしていたが、心不全の恐ろしさを知ると納得できた。早い段階でカテーテル手術するのは効果が期待できるか。(不動産賃貸業 経営者)

回答:野出氏

これは大変期待できます。恐らくこの人は狭心症で、完全に冠動脈は詰まっていなくて血液は流れているものの、75%以上狭くなっているという状況だと思います。症状がなくても、例えば糖尿病がある人は狭心症や心筋梗塞があっても症状がないことが多いのです。

あるいは高齢者の中には、心筋梗塞や虚血という狭心症の発作があっても胸痛がないケースがあります。こうした人に対しては、冠動脈の治療が適用できるとわかれば、しっかりと治療を受けてもらうことで悪化を防げます。

風船で狭いところを広げる治療に加え、ステントという金属のコイルを置いて、再度狭くならないようにします。ステントを使うと血栓ができることがあるので、そうした血栓ができないよう、抗血小板剤という薬も継続して飲みます。高血圧やコレステロールが高い、あるいは糖尿病があるといった人は、こうした治療をすることで、もう1度詰まることを予防できます。

心筋梗塞の予防は、心不全にとって最大の予防になるので、この段階で見つかったのは幸いと考え、しっかり治療してください。

実は、狭心症は簡単に見つけることはできません。症状があれば、冠動脈のカテーテルをしなくても狭いところがわかるので、積極的に冠動脈CT検査を受けることをお勧めします。

カテーテル治療でいいのか、あるいは外科的に開胸してバイパスをするのか、これはドクターの判断になります。例えば、大きな冠動脈が3本ありますが、3本とも詰まっているケースではバイパス手術になるので、どちらがいいのかはドクターの判断に任せます。このケースはカテーテル治療でいいと判断されれば、重症ではないということなので、カテーテル治療を受けると良いでしょう。

ただし、フォローアップは必要です。1年後に受診し、あるいは継続して外来で受診して、再度詰まってないかどうかをチェックすることは重要です。

回答:澤先生

カテーテル治療は、ある程度どんな人にもできる一方で、限界もあります。治療を受けるときに、胸を開いて心臓を止め、もしくは心臓を止めないまでも、パイパス手術を受けることを進んで望むのか。あるいは低侵襲、つまりカテーテルで広げてもらうのが良いのかを選択する時、その人がどう思うかが1つのポイントです。

もちろん、専門医の技術と考え方にもよります。もう1つ言うと、バイパス手術をした方が、カテーテル治療よりも長期の開存率(詰まりにくい血管の状態)が高いともいわれています。

低侵襲な方法を選ぶという考え方も1つだし、低侵襲のカテーテルを繰り返しやっているとまた症状が出てくるのであれば、最初からバイパス手術を選ぶことも、また1つの考え方です。様々な専門の先生の説明を聞き、その上で患者自身もよく考えて選択する時代だろうと思います。

第3回に続く