■心不全の定義 記者発表会

日 時 2017年10月31日(火)14:00~15:00
会 場 厚生労働省9階 記者会
発表者 日本循環器学会代表理事 小室一成 氏 日本心不全学会理事長 筒井裕之 氏
日本循環器学会学術委員会委員長 斎藤能彦 氏

■心不全の定義
心不全とは、心臓が悪いために、息切れやむくみが起こり、だんだん悪くなり、生命を縮める病気です。

高齢者の心不全が急増

冒頭、日本循環器学会学術委員会委員長の斎藤能彦氏は、「2016年12月16日、日本循環器学会と日本心不全学会および関連19学会が連携して、『脳卒中と循環器病克服5カ年計画』を策定した。この中で脳卒中、心不全、血管病を重要3疾患と位置付け、5つの戦略を立てた。その1つに予防、国民への啓発を掲げて活動をスタートさせたが、心不全が一般に知られていないことから、わかりやすく伝えるための定義を作成するに至った」と挨拶した。

続いて、日本循環器学会代表理事の小室一成氏は、心不全が重要である理由として、次の3点を挙げた。

1.患者数の急増
2.不良な予後
3.有効な予防

1の「患者数の急増」について、米国では1950年から2050年の100年間で心不全患者が急増しており、推計で約600万人の心不全患者がいる。一方、日本には正確なデータがない。そこで、新潟・佐渡島において心不全の患者数と年齢を調査したデータ元に、日本全体を推計した。当然、佐渡島のデータで日本全体を推計できるのかという疑問もあるが、これ以外にデータがないことから、このデータを推計値にしたところ、日本には現在約100万人の心不全患者がいると考えられる。日本は総人口が減少しているが、今後2035年までは心不全患者は増える。これは先進諸国のみならず、アジア、さらにアフリカなど世界中で増えていることから、心不全パンデミックと呼ばれている。

では、なぜ心不全患者が増えるのか。様々な要因があるが、日本において大きく影響しているのは高齢化である。64歳以下では10万人当たり20名程度と、さほど多くないにもかかわらず、65歳になると増加し、さらに後期高齢者では急激に増えていく。これまで命を落とす循環器疾患としては90年代までは急性心筋梗塞がトップだったが、現在では急性心筋梗塞の患者数は減少していないものの、死亡者数は減っている。急性心筋梗塞を発症すればすぐに受診してカテーテル治療を行い、その後、CCUで厳重に管理し、リハビリをして退院する。この一連の治療により、急性心筋梗塞による死亡者数は著しく減少した。病院に行きさえすれば、院内死亡率は5%近くまで減っている。ところが退院後、多くは心不全を発症し、その結果、死亡する患者数が増えていく。心不全はあらゆる循環器疾患の終末像とされ、弁膜症、心筋梗塞、不整脈、高血圧、心筋症など、最後は心不全になる。