心不全は進行胃がんと同じ

2の「不良な予後」について、我が国において予後が不良な代表的疾患はがんである。がんは部位やステージ、あるいは分子標的薬等によって予後は異なり、結腸がんや乳がんは比較的良いが、肺がんの予後は良くない。

心不全の予後と比較してみると、ステージ2~3の進行胃がんと心不全は同じといえる。誰でも進行胃がんと診断されればショックを受けるが、心不全と言われてもよくわからないことから怖くないし、注意もしないため、結果、命を落とす。

生活習慣の改善で心不全を予防

3の「有効な予防」については、予後とは逆に心不全は予防ができる。がんの予防は、喫煙をしない程度であまり方法はないが、心不全はそもそも心臓が悪いことから起きる。心筋梗塞、弁膜症、心筋症などは喫煙や塩分の摂りすぎ、肥満といった生活習慣の悪化によって発症するため、この生活習慣を改善することで、心臓病は予防できる。つまり、心不全がどういった病気であるかを理解し、ありふれた生活習慣に注意するだけで心不全の0次予防になる。

筒井氏

もう1つの予防は、心不全患者は「息が苦しい」といって受診をする。治療する中で、残念ながら亡くなる人もいるが、その多くは退院できる。しかし、退院したときに元のレベルに戻るのではなく、徐々に苦しくなってまた入院する。これを繰り返すことで命を落とす。これを防ぐためには、2度と入院しないようにする、悪化させないようにする「予防」が重要になる。

過労に注意する、風邪をひかないようにする、塩分や水分の摂りすぎに注意するといったことで、息苦しさによる再入院を防ぐことができる。これが心不全を悪化させない2次予防である。

筒井氏は、「患者数が多く、予後も悪く、再入院を繰り返す心不全は、がんと同様、あるいはがん以上に重要な疾患であることから、心不全をよく理解することが求められる」と締めくくった。

第1回終わり(第2回に続く)