心不全にまつわるQ&A

続いて、九州大学大学院医学研究院循環器内科学教授の筒井裕之氏が、心不全の定義とこれに関連するQ&Aについて詳しく解説した。

Q1 「心不全は・・・・病気です」とあります。“心不全”は、名ではないと聞いたことがありますが、これはどういうことですか。

医学の専門用語としては、「病気」ではありませんが、心臓が悪いことを総合的に表現する言葉として、ここでは「病気」と表現しました。

Q2 “心臓が悪いため”とありますが、これはどういうことですか。

心臓は、いろいろな原因で正常な機能(血液を全身に送り出すポンプ機能)を発揮できなくなることがありますが、それらを総称して、“心臓が悪いため” に、と表現しています。
悪くなる原因としては、

(1) 血圧が高くなる病気(高血圧)
(2) 心臓の筋肉自体の病気(心筋症)
(3) 心臓を養っている血管の病気(心筋梗塞)(十分に心臓を養えていないために起こる)
(4) 心臓の中には血液の流れを正常に保つ弁があるが、その弁が狭くなったり、きっちり閉まらなくなったりする病気(弁膜症)
(5) 脈が乱れる病気(不整脈)

これらの病気のために、心臓の血液を送り出す機能が悪くなっていることを意味します。またそれぞれの病気には、それぞれ適した治療法があります。

Q3 “息切れ”や“むくみ”の他に症状はないのですか。

心不全の初期によく見られる症状が、運動時の息切れや、両足、特に下肢の全面や足首、足の甲に指で抑えると、くぼむができるようなむくみです。むくみは両方の足に出現することが特徴です。その他には、「疲れやすい」という症状もあります。息切れもむくみも、心不全だけで生ずる症状ではありませんが、「疲れやすい」という症状は、心臓が悪くなくてもよく感じる症状ですので、定義には含めませんでした。

Q4 だんだん悪くなるとは、どういうことですか。

心不全の臨床経過のイメージを下図に表していますが、心不全を発症しても、適切な治療によって、一旦、症状は改善します。しかし残念ながら、心不全そのものが完全に治ることはなく、症状がぶり返すことがあります。

また、過労、塩分や水分の摂りすぎ、風邪、ストレスや、薬の飲み忘れなどにより心不全の症状が悪化、あるいは再発することもあります。そして、安静、治療の適切化によって、心不全の症状は再度改善します。しかし、このような、悪化と改善を繰り返しながら進行して行くことを、“だんだん悪くなる”と表現しました。