「マップマッチングを、もっと手軽に利用できるように」


 こうした想いから、マップマッチング技術をクラウドサービスとして提供しようとしている企業がある。インフォマティクスだ。マップマッチングとは、カーナビゲーションや、スマートフォン向けアプリ「Google Map」などの地図上に利用者の現在位置を重ねて表示する際に、位置の誤差を補正するための仕組みである。


 ルート案内サービスなどを使ったとき、建物が入り組んだ場所を通ったりすると、地図上での自分の位置が、実際の位置より通り1本分ほどずれてしまうといった経験は、誰にもあるだろう。方向音痴の筆者は、よくこれで迷子になる。


 ナビゲーションシステムにおいて位置情報を取得する方法としては、GPS(全地球測位システム)を用いる方法(衛星航法)や、車速・方位・加速度などのセンサーを用いる方法(自律航法)がある。ただ、これらの方法で得た情報から算出した位置情報には多少の誤差が含まれ、実際の位置からずれることがある。


 こうしたところにマップマッチングを使うことで、位置情報の誤差を減らせる。GPSなどの位置情報と、これまで通過してきた道路を比較し、最も適切な道路上に現在地を補正して「地図データ上で移動した経路(道路)」を特定する。


 インフォマティクスのマップマッチング技術は、国内大手自動車メーカーにも採用実績がある。GPSの位置情報を最寄りの道路に合わせるような単純な処理ではなく、前後の複数箇所の位置とその時刻情報、交差点を曲がった時の角度など、複数の情報を基に通行ルートを推定するという。


 地図に位置情報を表示するというとナビゲーションを思い浮かべるが、マップマッチングの用途はそれだけではない。エンドユーザー(端末)の位置情報と移動した経路情報を分析するシステムであることから、例えば商業施設や街歩きなどで客の動線を把握することができる。ただ、マップマッチングには対応するハードウエアやソフトウエアを用意する必要があり、導入には初期費用がかさむ傾向にある。バーゲンセールやイベントで客の動きが知りたいと思っても、気軽に分析するにはハードルが高い。


 こうした背景から、インフォマティクスが今回取り組んだのが、クラウドサービス化である。クラウド化することで、研究やビジネス、コンシューマーを問わず、より手軽かつ安価にマップマッチング技術を活用できるようにする。数百万円かかることもある初期投資が不要となり、条件によっては費用を10分の1以下に抑えられるという。リアルタイム処理が求められるようなシステムには向かないが、「セール期間中」や「年末年始」といった一定期間のユーザーデータをもとにしたマーケティング分析や施設内の動線分析などを行う場合に向いているとする。また、配車アプリの開発会社などにも、APIで連携できるサービスを提供していく予定。サービス開始は2019年3月頃、料金体系はデータ量に応じた従量課金となる見込みだ。


 今後、道路利用者だけでなく、鉄道利用による移動情報についても、補正と分析を対象とした移動プロファイリング技術を開発する。鉄道と併走している道路など、位置情報だけではどちらを移動したのかわからない場合でも、時刻情報や移動速度などを総合的に判断すれば推定可能なため、ユーザー(端末)がどのようなルート・手段で移動したのか高精度に把握できるようにしていくという。


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