スマートフォンやタブレット端末、パソコンなどのビデオ通話機能を使って、患者と医師がリアルタイムに対話をしながら診療するオンライン医療。LINEとエムスリーは共同出資で「LINEヘルスケア」を設立し、このオンライン医療の領域に進出した。背景には、2018年4月からオンライン医療が「保険適用」となったことがある。


 そもそも、オンライン医療は、いわゆる遠隔医療として以前から実施されていた。既に20年以上前の1997年には、厚生労働省が、医師不足に悩む離島やへき地で、ICTを活用した「遠隔診療」を認める方針を打ち出し、さらに2015年には、「離島やへき地の患者に限定しない」とする考えを示した。つまり、国も2015年を境に、オンライン医療を普及させる方向へと舵を切り、後押ししてきたのだ。その流れの中での「保険適用」である。


 保険適用となったことの意味は大きい。まず、病院などの医療機関が、診療や薬の処方の対価として受け取る診療報酬に、オンライン医療に関する項目が追加された。これまでも、医療機関が「電話による再診」をした場合に「電話再診料」の項目はあった。ただ、「報酬が低かった」ので、医療機関はあまり積極的に取り組んでいなかった。だから、今ひとつ普及してこなかったのだ。


 それが、オンライン医療の保険適用によって、診療報酬に「オンライン診療料」と「オンライン医学管理料」などが追加された。併せて、保険適用となったことで、受診を希望する患者が増えることも考えられる。もともとオンライン医療は、離島やへき地など、医師不足が深刻な地域の患者、医療機関に対する医療支援の切り札として期待されていたが、「地域限定」では利用者も限られていた。民間企業がビジネスとしての取り組むにはうま味が少ない。


 それが、厚生労働省が2015年に方向変換したことで、離島やへき地ではなく、「在宅医療が普及し、自宅で医療行為を受ける土壌が整いつつあった」都市部を中心に、オンライン医療が普及すると考えられた。しかし、保険が適用されない自由診療だったことが一つのネックとなり、期待通りに普及することはなかった。


 それが保険適用となったことで、これまでは「費用が高いから」と躊躇していた潜在的な利用者層にも、一気にオンライン医療が普及する可能性が見えてきた。費用面における受診のハードルが下がったことで、今回、保険適用となった高血圧や糖尿病、不整脈などでオンライン医療を受ける人が増えると考えられている。


 例えば「働き盛り」に多い生活習慣病は継続的な治療が必要だが、多忙なために思うように通院できない患者が少なくない。自己判断で薬の服用をやめてしまうといったケースもある。そんな患者にも、オンライン医療はメリットがありそうだ。

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