日本は雪深い国だ。太平洋側に暮らしているとピンとこないかもしれないが、国土交通省では、豪雪の発生確率が高い「豪雪地帯」に「24都道府県・532市町村」を指定している(2018年時点)。実に国土の半分以上だ。


 こうした指定地域では、冬の間の「除雪作業」が地域の大きな課題の一つとなっている。過疎や高齢化が進む町や村では、そもそも除雪の人手が足りない。除雪車を使って自治体職員、地域住民の除雪作業の負荷を減らそうにも、台数に限りがあり、「どこをどう走らせるのが効率的か」の判断が悩ましい。毎年、冬になると、多くの自治体でそんな地域課題が頭をもたげていた。


 こうした課題の解消に向け、いくつかの豪雪指定地域では、IoTを活用した除雪作業支援を試みている。


 例えば福島県会津若松市では2018年12月、積雪データをIoTでリアルタイムに計測する実証実験が実施された。IoTソリューションを提供するMomoとビッグローブが共同で実施した実験で、Momoが開発した積雪センサーを市内4カ所に配置し、これまで人が測定していた積雪情報をレーザーで自動計測した。さらに、MomoのIoTプラットフォーム「パレットIoT」と連携させることで、センサーからの積雪情報をビッグローブのIoTデバイス「BL-02」で収集して、クラウド上のサーバに送信し、集計・解析。積雪情報を自動的に可視化できるようにした。


 こうした積雪センシングシステムを、会津若松市内4カ所に配置することで、市内を広範囲に網羅し、タイムリーに「降雪量の見える化」が可能になったという。

ビッグローブとMomoは降雪から除雪までをIoTで「見える化」

 会津若松市の取り組みによる一連の効果は大きい。例えば、以前であれば会津若松市職員が約3時間もかけて市内4カ所の積雪量を確認していたが、その負荷をかけることなく、積雪センサーによってリアルタイムで確認できるようになった。


 可能となったのは「降雪量の見える化」だけではない。ビッグローブのIoTデバイスを除雪車に搭載した「IoT除雪車」を稼働させたことで、降雪が多いエリアに除雪車がきちんと配車されているか、除雪車が現在、どこで作業しているかといった稼働状況の確認までできるようなった。


 IoT除雪車はIoTデバイスが除雪車のエンジンと連動するようになっていて、リアルタイムに除雪車の現在位置や稼働状況を把握できる。これによって、除雪車の効率的な運行管理が可能となったほか、雪捨て場での渋滞状況も監視できるようなった。


 今後、両社では、IoTに関する技術とノウハウを組み合わせ、降雪データの自動収集から、除雪車の運行状況管理、さらには雪捨て場の積雪状況や付近の渋滞までをセンサーで「見える化」する総合的な除雪システムの構築に取り組む。早ければ2019年8月にサービスとして提供開始する予定だ。

Momoの積雪センサー「IoT積雪センシングシステム」
「パレットIoT」により降雪情報を自動的に可視化
「BL-02」除排雪車 車載イメージ

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Azureを活用した除雪車両の運混状況を可視化 石川県加賀市

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