ハンバーガーチェーンのモスフードサービスは2019年2月15日から27日まで、JR関内駅近くのモスバーガー関内店(横浜市中区)でAI(人工知能)を搭載した「AIセルフレジ」の実証実験を実施した。セルフレジというと、商品をレジでスキャンして会計する一連の作業を、商品を購入する客側が「セルフ」でするシステムを連想しがちだが、最新のセルフレジはAIを搭載し、AIがレジ係の機能を果たすようになっている。


 モスフードサービスのAIセルフレジは、音声認識技術により来店客からの「音声での」注文も受け付ける。しかも、モスバーガーで実際に働くスタッフの接客を分析してAIに学習させることで、「習熟した店舗スタッフのような接客」を音声で実現しているという。来店客は店員と対話をするように自然な流れで注文できるほか、自分の年齢や性別、注文履歴に応じて、おすすめ商品を提示してもらえるという。


 セルフレジというよりは、AIエージェントに近いイメージだが、セルフレジは確実に進化し、小売店や飲食店における注文と会計という「入口と出口」において、新たな顧客体験を利用者にもたらしている。

セルフレジ、セミセルフレジで新たな買い物体験

 進化を続けるセルフレジだが、現在、広く普及している一般的なセルフレジには、大きく分けて3種類ある。(1)商品のバーコードのスキャンから会計までを来店客自身がする完全セルフレジ。(2)店舗スタッフが商品をスキャンし、支払いのみを自動精算機で済ませるセミセルフレジ。(3)商品に電子タグ(RFIDタグ)を付けて、自動で読み取る自動読み取りレジだ。完全セルフレジでは、来店客がバーコードのスキャンに慣れていないと、会計に余分な時間がかかってしまうことがあり、現在ではレジ機器の操作に慣れたスタッフが商品をスキャンするセミセルフレジが普及しているようだ。


 こうしたセルフレジ・セミセルフレジを導入している店舗でも、会計業務を省力化することだけを目指しているのではない。セルフレジやセミセルフレジによって、新たな買い物体験、顧客体験を提供することを目指している。


 例えば、中国、四国、九州エリアにスーパーマーケット「ゆめタウン」などを展開するイズミは、2019年1月23日、広島県廿日市市の「ゆめタウン廿日市市」にカート型セルフレジシステムを導入した。カートを押しながら店内を移動し、カートに付属のスキャナーで商品のバーコードを読み取ってからカートの買い物カゴに入れていく仕組みだ。そのまま専用レジにいけばスムーズに会計できるので、店舗側は会計業務の省力化が図られるし、レジ待ち時間の短縮といった来店客へのメリットもある。


 それだけではない。読み取った商品の明細と合計金額がカートに付いているタブレット端末に表示されるので、客は金額を確認しながら買い物できるほか、読み取った商品の内容に応じたお勧め商品の情報などをリアルタイムに受け取れる。新しい買い物体験ができる仕組みだ。東芝テックがシステムを開発した。


 作業工具や資材などのインターネット通販を展開するモノタロウは、2018年4月にセルフレジを導入した無人店舗「モノタロウ AIストア powered by OPTiM」をオープン。ここは、専用アプリに表示されたQRコードをかざして入店し、欲しい商品を見つけたら、商品や棚のバーコードをスマートフォンでスキャンし、アプリ内の「バスケット」へ入れると、アプリとひも付いたクレジットカードなどでの決済が完了する。退店時には、再度、QRコードをかざす。


 モノタロウのセルフレジを導入した無人店舗は、商品を一つひとつ、来店客がスキャンするという作業があるものの、Amazon Goのコンセプトである「Just Walk Out」に近い体験ができる。

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電子タグと連動するセルフレジも

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