目指すは2022年に1万店、10年後には全店がチェックアウト・フリーに

ソリューションというと、カメラやセンサーといったハードウエアと、映像を解析するソフトウエアを提供するということですね。


 カメラや画像解析のコンピュータなどは、コモディティ化が進んでいますから、その販売ビジネスは考えてはいません。それは他のパートナーなどから購入してもらえばいい。やりたいのはSaaS(Software as a Service)です。画像データや重量センサーのデータをクラウドに集めて、商品の売れ方を管理し、いつ、どのくらい補充が必要になるかなどの情報を提供することがビジネスの中核になります。


 小さな小売店舗にとっては、こうした仕組みを整えることはビジネス上のハードルになります。レジを設けることで、人手も必要になるし、その分のスペースも必要になります。チェックアウトレスにすれば、人手もスペースも抑制できて、そのうえ商品の売れ具合をリアルタイムに把握できます。


 商品がどの棚に配置されているかを常に管理できる点もメリットです。多くの店舗では、顧客が正しく商品を戻さないことなどから、25%ほどの商品が正しい位置に置かれていません。カメラで様子を捉えるチェックアウト・フリー・システムを使っていれば、位置の誤りをいち早く見つけて修正できます。


とすると、単純に自動化する仕組みを導入するだけではなく、バックヤードで映像をチェックしたりするスタッフは必要なわけですね。


 そうです。これは、カメラの映像から商品を判別するという仕組み上、どうしても生じる制約への対応のためでもあります。


 制約が出るのは、例えば商品にロゴが入っておらず、映像だけでは商品の判別が難しい場合。あるいはガムのように小さいもの、紙袋などのように何枚か重なっていると判別しにくいものなど、どうしてもカメラで撮影した映像を識別するだけでは扱いづらいものがあります。


 形がよく似た商品を、誰かが場所を入れ替えてしまうこともあるかもしれません。その場合も、ロゴなどからはっきり区別できればいいのですが、そうでない場合は、いろいろな条件から人がデータを確認して、正解と思われる結果をコンピュータに教える必要があります。


 そのためにはバックヤードに映像を見ているオペレーターが必要です。これも私たちのサービスとして提供できると考えています。こうした仕組みを、月額課金モデルで初期投資を抑えて使えるようにすることで、これからもっと多くの事業者が店舗を構えられるようになるはずです。アマゾンのように1つのブランドではなく、多様なブランドの店舗が広がっていく環境を整えたいと思っています。


チェックアウト・フリーの仕組みは、店舗の中での人やモノの動きをトラッキングする点がポイントですね。だとすると、食料品店のほかでも使える場面がありそうに思えます。


 はい。もちろん、食料品などの小売り以外でも使えます。例えば近い業種でいうと、レストランのようなところでも使えるはずです。顧客が、決まった場所に設置した料理をとって、自分が確保した席に持っていって食べるといったシーンでも、ほぼ同じ仕組みを使ってチェックアウト・フリーを実現できます。


 ほかに、工場の生産ラインとか、病院の中とか、何人もの人が動いていて、その動きに合わせて何らかのサポートをしたり、何かを受け渡したりするようなところでも、この仕組みを応用して、作業を効率化できると思っています。


今後、小売店舗向けのソリューションをどのように展開していきますか。


 まず、技術面の改善を進めます。映像の認識に関して、システムにもっと学習させ、精度を高めていきます。同時に、店舗の展開も進めます。過去12カ月での動きを見ると、いくつもの小売業者がチェックアウト・フリーに興味を持ち、そこへの投資も考えるようになってきています。


 もちろん、店舗展開を進めるうえでは、周辺システムを提供するパートナーや、システムを構築するパートナーなどのエコシステムが必要です。チェックアウト・フリーを的確に導入していくために、店舗をデザインするパートナーも必要です。


 こうしたエコシステムを広げつつ、店舗を展開していきます。まだはっきりとは言えませんが、2022年に1万店舗くらいまで広げたい。10年後には、すべての店舗がチェックアウト・フリーになっていたらいいですね。




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