創業から140周年を迎える東京海上グループ。2017年度の売上高は5兆3991億円、時価総額は約3.9兆円、従業員数約4万人(連結ベース)を誇る日本の保険会社の巨人である。


 2008年以降、M&A(合併・買収)を通して重点的にグローバル展開を進めてきた同社は、次のフェーズとしてデジタル戦略に着手。「人の力とテクノロジーの融合」「Mission Driven(ミッションドリブン)」「グローバルデジタルシナジー」という3つの戦略コンセプトを掲げ、デジタル変革に挑んでいる。そのデジタル戦略の立案・実践のキーパーソンになっているのが、東京海上ホールディングス 事業戦略部部長 兼 デジタル戦略室長の住 隆幸氏だ。

効率化と価値創造の両輪で成長目指す

 同社がデジタル戦略室を発足させたのは2016年7月のこと。デジタル社会の圧倒的な変化のスピードに危機感を抱いた東京海上グループCEOの永野 毅氏が、“30年先を見越した経営計画”を立案するためだとして、当時ロンドンのグループ会社にいた住氏を東京に呼び寄せた。


 いきなり30年先の経営といわれても、さすがに遠大すぎて見当がつかない。そこで、経営そのものではなく、自分たちが目指す姿について考えた。


 保険会社は、加入者が病気や事故といった問題に直面したときに経済的な保障をすることで「安心・安全」を提供してきた。ただ最近は、シェアリングエコノミーなど消費者の考え方や価値観が変化してきていて、保険に期待されることが必ずしも今までと同じではなくなってきている。そうした変化がある中で、東京海上グループが「安心・安全」を提供し続けるには、安心・安全の新しい価値を生み出さなければならない。


 一方では、斬新なアイデアを武器に、デジタル技術を駆使して新たなビジネスを始めるスタートアップ企業が世界中で生まれている。そういった変化を的確に捉え、対応していかなければ東京海上グループの経営は市場に追いつけなくなる。そもそもの永野CEOの危機感もこうしたところにあった。これに対応するには、変化の兆しを素早く捉え、業務プロセスをスピーディに変えていける、いわゆるLeanな経営体制が必要になる。


 こうして考えた目指す姿を実現するために何が必要か。そこでの競争優位性を確立するためにと考えたのが、冒頭に挙げた3つの戦略コンセプトである。ポイントは、業務の効率アップを図ることと、新たな価値を生み出すことの両方を見据えていることだ。

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