※ 上の写真はUber Airのパートナー企業が披露したeVTOLイメージの一つ「pipstrel」

 移動手段が自分のスケジュールに合わせてくれたら、どれだけ便利だろうか。時刻表から解放され、無駄な待ち時間はなくなる――。


 ライドシェアで知られるUber Technologiesは、そんな未来を描いている。そこでは、従来の自動車だけが移動手段ではない。空の交通手段も含まれる。

交通機関に合わせる時代からパーソナライズへ?

 自動車を持たない人にとって、自分専用の移動を実現する手段の際たるものはタクシーである。タクシーなら、行きたい時に、今いる場所から行きたいところまでピンポイントで運んでくれる。Uberは運転免許を持った人が自家用車をシェアするというサービスでタクシー業界に大きな影響を与えた。Uberが使えるところでは、アプリを開いて行きたいところを入力すると、最寄りの車を探してくれる。しかもほとんどの場合で料金はタクシーより安い。そのUberが現在狙っているのが交通の3次元(3D)化だ。


 「交通を3Dにする必要がある」。UberのCEO、Dara Khosrowshahi氏はこう話す。人が集まる都市では過密化が進み、建物は高層化する。世界共通の傾向だ。「我々は3Dの建物の中で生活し、働いているのに、交通・輸送は2Dのまま。これでは渋滞問題を解決できない」。これがKhosrowshahi氏の持論である。


Uber CEO、Dara Khosrowshahi氏

Uber Copterがローンチするニューヨークでは、移動手段のオプションとしてUber Copterが含まれる。

 Uberで交通の3D化を進める事業部はUber Elevateである。中心となるのは空飛ぶタクシーこと「Uber Air」。Uberは2023年にロサンジェルス、ダラス、そしてオーストラリア・メルボルンの3都市でUber Airのサービスを開始すると発表している。


 数十キロのまとまった距離を気軽に空で移動するーー。少し前まではSF小説でしか描かれなかった世界だ。ただ、Uber Elevate事業部で製品トップを務めるNikhil Goel氏は、「思っているより早く実現するだろう」と予言する。


 Uber Airが現実のサービスに近づいていると予感させるのが、Uberが7月にニューヨークでスタートする「Uber Copter」である。ヘリコプターでニューヨークのジョン・F.ケネディ空港からマンハッタンまで8分で移動できるという。当初は当初、Uberの上級会員限定サービスとして提供され、値段は200〜250ドル。これまでのプライベートヘリコプターが富裕層しか利用できなかったことを考えると、空の移動が少し身近になりそうだ。

eVTOL、Skyport、規制ーー全方位で進めるUber

 Uberは陸上で、ライドシェアのUberに加え、「JUMP」ブランドで電動自転車とスクーターをのシェアリングサービスを展開している。Uber Airが実現すれば、これに空が加わることになる。


 だがUberはUber Airを、”空飛ぶタクシー”として提供するというより、個人のニーズに合わせた移動、言い換えるとMaaS(Mobility as a Service)の一部として考えている。例えばこんな感じだ。


 行きたい場所を入力すると、Uberのライドシェアを利用してSkyports(Uber Airが離着陸するターミナル設備)に行き、そこからUber Airで移動、到着したらSkyportが併設するJUMPステーションにある自転車で移動するという方法を提案、合計の金額と予想される時間も合わせて表示される。Uber幹部はこれを”マルチモードのトランスポーテーション”と呼ぶ。実際、Uber Copterの商用サービスがスタートすると、ニューヨークのJFK空港が含まれる移動では、Uber Copterが入ったオプションが表示されるようになる。


 現在、ロンドンからニューヨークに移動する際にUberアプリを使おうとは思いもしないが、Uberは将来的にそういう使い方も考えているのかもしれない。


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