米国はもちろん、日本でも宇宙関連のスタートアップ企業が増えている。同時に、大手企業にも宇宙ビジネスに乗り出す例が目立ち始めた。いま宇宙ビジネスが注目される理由は何だろうか。内閣府宇宙政策委員会宇宙民生利用部会委員を務める、A.T.カーニー プリンシパルの石田真康氏に、宇宙ビジネスに注目が集まる理由を聞いた。

共同創業者兼代表理事を務める一般社団法人SPACETIDEが主催する宇宙ビジネスカンファレンス「SPACETIDE2018」が5月に開かれましたが、若者も多く参加しとても盛況でした。

石田氏 今年で3回目の開催で、回を追うごとに幸いにも大きくなってきました。今回の会場は550席で、後ろの50席は学生のための席でした。カンファレンスは約50人のボランティアメンバーで運営しましたが、そのうちの3分の1は学生です。運営を手伝うために北海道から来た学生もいました。

若い人に限らず宇宙ビジネスが世界的に注目されていますが、そのきっかけは何ですか。

石田氏 世界最大の宇宙大国である米国において、20年前ぐらいから商業化のトレンドが非常に強くなったというのが大きいです。商業化には、民営化という供給側の変化と民需という需要側の変化の2つの側面があります。これは米国政府がトップダウンで仕掛けただけでもないし、民間企業が圧力をかけただけでもなく、いろいろな要素が同時多発的に起きたことで進みました。商業化という民間企業主体の宇宙産業という流れが起き、それをチャンスと思って自己資産を持つ起業家が起業し、その起業家を支援するために投資家が投資をしました。

A.T.カーニーの石田 真康氏
プリンシパルとしてハイテク・IT業界、自動車業界、宇宙業界を中心に、全社戦略、事業戦略、R&D戦略等に関する経営コンサルティングを担当。

デジタル化の波と宇宙産業が交差

 ここ10年間ぐらいでデジタル化の波と宇宙産業が交差し始めたのも、もう一つの大きな理由です。最近よく、″なんとかテック″と言われるものがありますが、それが宇宙産業のものづくりや宇宙のデータ解析の仕方を変えるようになってきたアウト・インの変化と、人工衛星からのデータを地上の多種多様な企業が自社の事業のデジタル化に使うイン・アウトの流れの両方で、デジタルという大きな潮流と宇宙がクロスし始めています。


 商業化が進むと、市場競争の概念が入ってくるのでコストや新しいサービスの競争が起き、アライアンスなどが生まれます。官需にも入札という競争がありますが、民需の競争とはルールが違います。そういう意味で、需要側の民需への拡大は、供給側の競争原理も変えていきます。


 ただし、宇宙産業の特徴は民需だけでは成り立たないところにあります。これまではあくまで官需があって民需があるというセットです。(イーロン・マスク氏のロケット打ち上げサービス会社の)スペースXも一番のお客さんはNASA(米航空宇宙局)です。スペースXのお客さんは3種類あって、NASAの次に大きいのが民間の通信衛星を手掛ける通信オペレーターで、最近増えてきたのが米軍です。今の宇宙ビジネスで民需だけで食べていける人はすごく少なく、放送・通信分野ぐらいです。


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