2019年1月に米国ラスベガスで開催された展示会「CES 2019」。そこに、コンシューマエレクトロニクスとはちょっと縁遠い企業が初めて出展した。創業181年の歴史を持つ、日用品の巨人Procter & Gamble(P&G)だ。同社は、パンパースやファブリーズ、アリエールなど、生活にかかわるさまざまな消費財を製造・販売しているが、ラインナップに持つ家電品といえば電動歯ブラシや電動髭剃り程度。そんなP&GがCESに姿を表した。


 同社をCES出展に駆り立てたのは、デジタル・ディスラプト(破壊)への恐れ。現在、圧倒的な地位にある企業であっても、デジタル技術を使って既存産業を再定義するような新興企業が現れると、一気に市場がひっくり返される可能性がある。CES 2019のプレスカンファレンスに登壇したChief Brand OfficerのMarc Pritchard氏は、こう話した。


 「大規模な破壊(mass disruption)を起こさないように(既存の事業を)計画的に壊していくというのが、我々が今、取り組んでいることだ」


プレスカンファレンスの様子

 現時点の日用品業界では、P&Gのような、製品を低コストで大量に生産・供給できる企業が優位に見える。しかし、未来は安泰ではない。新興企業あるいは異業種と思われていた企業が、IoT技術やセンサーなどを武器に、個々のユーザーに寄り添った日用品を提供してくる可能性がある。あるいはSNSによる宣伝やオンライン販売などの手法を駆使し、一気に市場を奪取する可能性もある。実際、食品の分野では、電機メーカーのパナソニックが専用の焙煎機を武器に、コーヒー豆をユーザーに販売する事業を始めている。


 こうした状況においてP&Gが取り組むのが、マスカスタマイゼーションした商品から、パーソナライズした商品への移行。そこにデジタル技術を駆使する。


 同社では、これまで培ってきた経験や社内の資源を生かしながら、130の小規模実験プロジェクトを進めているという。このプロジェクトは、最小のコストで最低限の機能を持った試作品を短期間で作り、顧客に提供することで顧客の反応を観察するという、リーンスタートアップの手法を取り入れている。この過程で、外部のパートナーとの提携やオープンイノベーションに加え、ビッグデータに基づいたワントゥーワンマーケティング、対話的な宣伝手法、働き方改革など、新しい手法を積極的に導入しているという。

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インクジェット方式のコンシーラーなどを展示

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