※ 上の写真はパナソニックのプレスカンファレンスの様子(出所:パナソニック)

 クルマとクルマを結ぶV2V(Vehicle to Vehicle)、クルマと信号機・標識などの道路インフラを結ぶV2I(Vehicle to Infrastructure)、あるいはクルマと歩行者や自転車を結ぶV2P(Vehicle to Pedestrian)——。このようにクルマとその周囲にあるさまざまなもの(X)を通信でつなぎ、クルマに対して高度なサービスを提供するV2Xの仕様として、「C-V2X」が台頭してきそうだ。例えば米Ford Motorは2019年1月に米国ラスベガスで開催された展示会「CES 2019」に合わせて、「2022年からC-V2X機能を米国で販売する新型モデルにすべてに搭載する」と発表。QualcommやパナソニックからもC-V2X関連の展示や発表があるなど、C-V2Xが活気づいている。


V2Xの利用シーン1(出所:Ford Motor)

 C-V2Xは4G(LTE)や、今後サービスが開始される5Gといった移動通信(Cellular)の技術を使ってV2Xを実現するものである。通信形態としては、端末と移動通信基地局を結ぶ移動通信の従来の形(Device to Network、D2N)に加え、端末同士が直接通信する形(Device to Device、D2D)も用意する。前者は移動通信に割り当てられた周波数を使う。これに対して後者では、欧州や米国で、V2X用に割り当てられている5.8G〜5.9GHz帯を使うことを想定している。


編集部注)。V2Xを使うと、さまざまな安全機能を実現できる。例えば、曲がり角の先に止まっているクルマがあること、信号が変わりそうなこと、歩行者や自転車が接近していることなどが分かる。


編集部注)日本では5.8GHz帯をITSバンドとしているが、現時点で認められているのは、インフラと車を結ぶV2I用、端的に言えばETC用であり、V2Vには利用できない。もちろん、この帯域においてC-V2Xの利用はできない。世界の動向を受けて今後、見直しが入る可能性はある。


V2Xの利用シーン2(出所:Ford Motor)

 V2Xは元々、無線LAN由来のIEEE802.11pを基盤としたDSRC(Dedicated Short Range Communications)を使うことを前提に開発されてきた(この方式をDSRC-V2Xと呼ぶ)。推進派はドイツVolkswagen、トヨタ自動車、そして米General Motors(GM)である。Volkswagenは2019年以降のすべての新車に、DSRCベースのV2X技術を搭載することを明らかにしている。トヨタ自動車は、2021年にDSRCベースのV2Xを米国で開始し、2020年代半ばまでにほとんどの車種に、同機能を提供する計画だ。GMも2023年までに、人気のあるクロスオーバーモデルにDSRCベースのV2X機能を搭載し、その後、順次車種を拡大する意向を示している。


 そんな中、2016年にドイツAudiやドイツBMW、ドイツDaimler、スウェーデンEricsson, 中国Huawei Technologies、米Intel、フィンランドNokia、米QualcommがC-V2Xを推進する団体、「5GAA(5G Automotive Association)」を結成し、移動通信方式のC-V2X方式を提唱し始めた。メンバーは拡大しており、2019年2月16日現在、ドイツVolkswagenやフランスRenault、日産自動車、ホンダなども同団体に加盟している。


 現時点で、米国や欧州では、 V2X用の周波数帯である5.8〜59GHz帯でC-V2Xを利用することは認められていない。しかし5GAA陣営は、規制当局に同周波数帯でC-V2Xを利用できるように働きかけている。規制当局側も、こうした意見に対して柔軟に対応する姿勢を見せており、5.9GHz帯でC-V2Xを利用可能になる可能性が高い。今回、FordがC-V2Xの採用時期を明示したことからも、規制当局との調整にメドを付けたと読み取れる。


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米国ではC-V2Xの公道実験が開始

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