月や月の近傍空間、さらに火星へ向かう宇宙開発は発展が見込まれる「未来市場」と言われ、世界中の動きが活発化している。宇宙開発の市場規模は2016年で約35兆円。2040年には300兆円(バンク・オブ・アメリカ試算)ともいわれる。そのドライブとなるのが宇宙資源の利用だ。

月の水資源を利用すれば火星への燃料補給基地ができる(提供:ispace)

 前回の記事で紹介したように、月に水資源があればロケットの燃料を調達できる。ロケット打ち上げコストが下がれば宇宙活動が増え、マーケットが拡大すると見込まれるのだ。この世界潮流に乗り遅れまいと、三菱総合研究所と月資源探査を目指す日本のスタートアップのispaceは2016年末に、「フロンティアビジネス研究会」を立ち上げた。現在、大手ゼネコンや通信、法律事務所など約30社が参加して、様々な議論をしている。その主な目的は日本発の宇宙資源ビジネスを作ること。

 具体的に宇宙資源を使ったどんなビジネスが考えられるのか。2018年は食料、居住、資源など5つのワーキンググループに分かれて研究。11月1日のシンポジウムでその内容が発表された。特に興味深かったのが居住ワーキンググループによる「月面リゾートホテル」だ。

超富裕層向けホテルは水1リットルが9万1000円

 2040年、月に1000人が暮らし、年間1万人の旅行者が訪れる時代。旅行者が訪れるなら、当然ホテルが必要になる。

 居住ワーキンググループのリーダーである清水建設フロンティア開発室の鵜山尚大氏の発表によると、月の赤道近くに作られたリゾートホテルの宿泊プランは1泊4億円で2泊から。ホテル周辺のアトラクション利用料は1日1億円。イベント開催費は30億円から。宿泊可能日数は年間144日(月の昼の期間のみ)。宿泊可能人数は1日50人で従業員は10人。月2回のイベント開催を見込む。

NASAのルナリコネッサンスオービタが観測した「地球の出」。月滞在者の最大の楽しみ(提供:NASA)

 1泊4億円のホテルって、いったい誰が泊まるのだろう?ホテルのメインターゲットは資産50億円以上の超富裕層だ。英国企業の2018年のレポートによると、この層の人口は世界で12万9000人存在するという。

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