デジタル技術の進歩を背景として、クルマを中心とするモビリティ市場が大きな転換期を迎えようとしている。中でも、世界で大きなムーブメントになっているのが、米Uber Technologies、シンガポールのGrabなど、「所有から利用へ」の流れを生み出したライドシェアだ。加えて、自動運転がそれを一気に加速させる可能性がある。


シンガポール「Grab」の説明画像

 この変化をとらえ、米フォード、GM、ドイツのBMW、ダイムラー、フォルクスワーゲンと、世界の自動車大手が次々に、ライドシェアを中心とする新事業に乗り出している。トヨタ自動車や日産自動車も同様だ。トヨタは2018年1月に「e-Palette」のコンセプトを打ち出したほか、同10月にはソフトバンクと提携。合弁会社の「MONET Technologies」を立ち上げた。クルマや人の移動に関するさまざまなデータを活用し、移動における新たな価値を創造するという。


 これら自動車メーカー各社が目指すようになっている新分野のビジネスが「MaaS(Mobility as a Service)」である。クルマや人の移動に関し、その需要と供給を最適化して、快適なモビリティ環境を提供するサービスである。自動車メーカーは、従来のような車両提供の枠を超え、MaaSのためのプラットフォーム提供を狙う。

交通手段はどれも直前予約、操作は決済まですべて1つのアプリで

 モビリティ変革の動きは、クルマに限ったものではない。鉄道、バスなどの公共交通での動きもある。その初歩的な取り組みはバスのロケーション管理だ。走行中のバスの現在地や、各バス停への到着までの見込み時間を顧客向けに示す仕組みである。


 こうした仕組みをベースに、複数の交通手段を組み合わせる、いわゆるマルチモーダルでのMaaSの展開も始まっている。代表例が、フィンランドで展開されている「Whim」である。スマートフォンのアプリを使って、交通機関を料金支払いの手間を気にせずスムーズに乗り継げるサービスで、MaaS Globalが提供している。アプリを立ち上げて目的地を入力すると、現在地(あるいは出発地)からの経路と、その移動に最適な交通手段の組み合わせを検索し、提示する。



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