年明け早々、米Appleの株価はiPhoneの不振を背景に一時値を下げたものの、2018年11月に同社の株式時価総額が約1兆ドル(約100兆円)に達し、世界1位になったことは記憶に新しい。その時点での株式時価総額のランキングでは、第1位がAppleで、第2位が米Amazon、第3位が米Alphabet(Google)、第4位が米Microsoft、そして第5位が米Facebookとなり、GAFA(Google、Apple、Facebook、Amazon)がトップ5を占めた。

 GAFAの時価総額を2010年初頭と2018年11月26日を比べると、9年弱で4.3~14.2倍に急増している(表1)。企業の時価総額は、投資家・株主などの成長への期待を反映しており、GAFAを取り巻くステークホルダーによる期待の高さを裏付けている。

(表1)GAFAの時価総額(出所:各社のIR資料)

 2018年の最新のGAFAの業績は、表2のとおりである。GAFAに共通していることは2010年以降、スマートフォンやタブレットといったモバイル機器の普及が加速するのに伴い、事業規模を拡大していることだ。2016年以降、先進国では個人向けのスマホ出荷数やインターネット接続契約数は飽和傾向にある。しかしながら、GAFAはいずれも売上高と純利益ともに成長を持続しているのが特徴である。

(表2)GAFAの業績(出所:各社のIR資料)

 そこでこの記事では、2019年におけるGAFAを取り巻く環境の変化や、GAFAのR&Dと事業開発の動向、競合の動向などを踏まえてGAFAの成長戦略の行方を占う。

スマホの世界市場は飽和状態

 民間調査大手のIDCによると、全世界における2018年のスマホ出荷台数は前年度比3%減で、世界最大である中国市場でも同9%減と予測されている。新興国でスマホの普及が続いているにもかかわらず、短期的には全世界市場は飽和状態にある。

 インターネット接続率は先進国市場で約90%と各種調査機関が報告しているが、その傾向は個人向けに限られている。ビジネス向け、とりわけIoT用途でのインターネット接続の成長は加速しており、大手通信キャリアの業績推移を見ると顕著である。

 米国モバイル通信キャリアの最大手の1社であるAT&Tの通信事業はビジネス部門(企業・政府機関などのビジネス顧客契約分、スマホ通話料の企業支払い分を含む)と、費者部門(個人の契約分)に区別されている。同社の2017年度のIR資料によると、消費者部門の契約数は前年度比2.2%減であるのに対し、ビジネス部門の契約数は前年度比11.1%増となっており、通信キャリアの企業・政府機関・公共セクターへの依存が相対的に高まっている。

 AT&Tは業績発表の中で、ビジネス部門におけるIoTの契約数を公表しており、前年度比で25%増加したという。5Gなどのブロードバンド環境のインフラ投資と共に、IoT関連 サービスが同社の成長戦略の最重要テーマの1つとなっている。なお、AT&TのIoT関連サービスは、センサーモニタリング、タブレット産業用途、コネクテッドカーなどのIoTデバイスのインターネットアクセスを対象としている。

中国市場でもIoTが成長の柱に

 中国のモバイル通信契約数は2010年以降高い増加率で成長してきたが、2015年以降の対前年増加率は5~8%に留まっている。中国のモバイル通信事業者の最大手であるChina MobileのIR資料によると、同社のユーザー数は2017年末で8億8700万だが、2016年の対前年増加率は2.4%、2017年は同4.8%となっており、今後の個人利用のユーザー数に関しては従来ほどの高い成長率は期待できない状況にあるとしている。

 一方、同社におけるIoT ベースのインターネット接続数は、2015年が6500万、 2016年1億300万、 2017年が2億200万と急成長している。そこで、China MobileはAI技術やビッグデータ処理とともに、スマートトコネクションと呼ぶIoTを成長戦略の1つとしており、中国のAlibabaやBaiduなどのインターネットサービス事業者との連携を通じて事業の拡大を図っている。

IoTのフロンティア市場はアジアなどの新興国

 「Internet World Stats」によると2016年の全世界のインターネットユーザー数は70数億で、その過半数以上をアジア地域が占め、北米・欧州の先進国地域合計の15%強を大きく上回っている。インターネット接続率は北米・欧州では9割程度である一方、アジア地域は5割程度にとどまっている。こうした新興国市場では、インターネット接続率の高成長が継続しており、IoTのフロンティア市場としての位置づけが高まっている。

 GAFAは2010年ころから、北米・欧州市場に加えて、アジア地域を含む新興国市場で、事業拠点やR&Dを含むテクニカルセンターの構築に大規模な投資を続けている。GAFAの成長の源泉はインターネットアクセス数の増加であり、新興国市場は従来の個人向け事業とIoTのビジネス向け共に成長市場ととらえられている。ただし、中国のIT企業で「BAT」と呼ばれるBaidu、Alibaba、Tencentの3社や Huaweiなどの中国企業との競合が課題となっている。

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