2018年5月にDIGITALISTがリリースされてから月に1回、「デジタルな生活はいかが?」と題して連載をさせていただきました。今回は2018年最後の記事ということで、デジタル技術が私たちの食生活をより便利に、楽しく、そして新しく変えていく可能性について、2018年を振り返り、来年以降への期待について書いてみようと思います。

調理をサポートするデジタル

 筆者の関心が「いかに家事を省力化するか」にあるということもあり、これまでの連載7回のうち5回は調理や家事をサポートしてくれるデジタル化について紹介しました。


 世の中の傾向として、家事にかける時間や労力の節約は、多くの人が抱える課題となっています。共働き世帯、特に子育てと共働きを両立する家庭は年々増加しています。仕事や育児の合間を縫って、限られた時間の中で家事に取り組む必要に迫られている人は多いでしょう。こうした課題に応え、家事や調理をサポートする製品やサービスが生まれています。


 例えば、「忙しい人の炊事に強い味方!スマートなガスコンロ」で紹介したスマートコンロや「家電は暮らしのパートナー 頼れるAIoT調理家電」で紹介したヘルシオのウォーターオーブン、ホットクックは、自動調理機能で調理の手間を減らしてくれる製品です。


 これらの自動調理機能はセンサーによって食材や庫内の状態を把握し、調理を行うため、再現性が高く、誰が作っても失敗にくい点も魅力です。シャープでは、その再現性の高さを生かし、ヘルシオに食材を入れてボタンを押すだけで有名シェフの料理が食べられる食材キット「ヘルシオデリ」を販売しています。主婦/主夫の中には「便利なものを使って楽をすることに罪悪感を感じる」という人も少なくありません。しかし、手を抜く代わりに美味しさを犠牲にするのではなく、労力を減らしながらより美味しいものが食べられるのであれば、心理的なハードルも低くなるのではないでしょうか。


 「スマートスピーカーで炊事はどれくらい便利になる?」で取り上げたスマートスピーカーも、食材で手が汚れていても音声で指示を出したり、レシピを聞いたりできるので、調理の省力化にいくらか貢献してくれます。今後、スマートスピーカーに対応した家電が普及すれば、一層便利になるかもしれません。


 炊事の手間は、食材を調理する「実行」だけではありません。献立や手順を考える「計画」や、買い出しや下ごしらえといった「準備」、さらには冷蔵庫に残った食材やその賞味期限の把握など、調理の前後にもやること、考えることがいくつもあります。これらを代替してくれる製品・サービスもまた、調理をサポートし、家事負担を軽減してくれるデジタル変革の一つと言えるでしょう。


 例えば、通販・ネットスーパーは買い出しの手間を省いてくれますし、「冷蔵庫の中身、知っていますか」で紹介した冷蔵庫の在庫管理アプリも在庫管理を楽にしてくれます。


 献立や段取りを考えるという頭脳労働を代替してくれる機能やサービスもあります。「「今晩は何作ろう…」の悩みに強い味方」で紹介したウィークックナビは、1週間分の献立と段取りを自動計算してくれるので、あとはリストにしたがって買い物をして、手順に沿って手を動かすだけです。


 また、先ほど挙げたヘルシオのウォーターオーブンには、AI(人工知能)による音声対話によって、調理履歴や季節、最近のトレンドなどを踏まえたメニューを提案する機能がついています。毎日の献立を考えるのは、最近作ったもの、家族の好み、家にある材料、旬の食材など様々な情報を考慮に入れ、レシピを選び組み合わせる、なかなか面倒な作業です。調理履歴や豊富なデータベースからレシピを提案できるAIは、むしろ人間よりも献立検討に向いてるのかもしれません。


 さらに、ヘルシオはメニューを提案するだけでなく、そこから買い物リストを作成したり、調理時には音声でレシピを読み上げたり、メニュにあった調理モードを自動設定したりと、計画から準備、実行までの複数の行程をトータルでサポートしてくれます。炊事は、調理1回1回の“点”の作業ではなく、計画を立てて、買い出しをして、下ごしらえをして、仕上げをして、家に余っている食材をやりくりして、とたくさんの作業がつながった“線”の繰り返しです。デジタル技術によるサポートも、それぞれの点を支えるだけでなく点と点が連携するように発展していくと、一層便利になるのではないかと思います。IoT(モノのインターネット)化によって家電と家電、または家電とスマホとが連携できるようになり、家電だけ、スマホアプリだけではできなかった点と点を結ぶサポートが可能になりつつあります。今後、冷蔵庫の在庫を把握してメニューや献立を提案したり、それを元にネットスーパーで買い物ができたりするようになると、随分と家事が楽になるんだけどなぁと、期待しています。

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