(前半はこちら)

 2018年11月15日に開催したDIGITALIST主催イベント第2弾。これからの組織がイノベーションを生み出していくために何が必要かを議論した。前半のピョートル・フェリクス・グジバチ氏による講演は、参加者自身も発言をしながら、盛況のうちに終えた。イベントの後半では、ピョートル氏とDIGITALIST編集長の河井保博が、「働き方と組織」についてディスカッションした(以下、敬称略)。

普段接する機会のない人たちと出会う大切さ

河井:今、AIなどのテクノロジーが自分たちの仕事を奪ってしまうんじゃないかと、みんな不安なのではないかと思うんです。こういった時代において、何か気にかけておいたほうがいいことはあるでしょうか?


ピョートル:東京のどこで働いているかによりますね。厳しいことを言ってしまうと、大手町で働いている人なんかはかなり心配です。渋谷で働いている人は大丈夫でしょう(笑)……というのは冗談ですが、職種や業界によって、自動化がどれくらい進むかは異なります。「自分たちはエリートだ」という認識がいまだに強く、自分の今の仕事がこの先もずっと続くはずだ、と考えている人は少なくありません。しかし、自分の所属する企業が置かれている業界がこの先どうなるかなど、マクロレベルの視点を持っている人はなかなかいないのではないでしょうか。


 人間は楽観主義的ですから、自分が事故に遭ったり病気になったりするとは考えません。でも、実際は誰でも一定数は、事故に遭ったり病気になったりするわけです。「自分は関係ないんだ」という、ゆでガエル的な考え方を、いかに捨てていくかが大切だと思いますよ。


 人間はどうしても、「自分の考え方は正しい」というバイアスを持ちがちです。そういったバイアスを捨てるためにも、自分とは異なる考え方を持った人と出会ったり、話をしたりする機会を持つことが必要だと思います。普段大手町で働いている人が渋谷に来る、あるいは普段渋谷のスタートアップなどで働いている人が大手町に来る、ということは残念ながらあまり多くはないですよね。私はたまに日本人の知り合いを別の日本人に紹介する「橋渡し」的な役割を担うことがあるのですが、そういう「橋渡し」的な存在が東京にはあまりいません。今日はスタートアップのイベントに行ってみようとか、行政の人と話してみようとか、普段接しているのとはちょっと違う人たちと出会って話をすることが大切だと思います。

働き方と組織──個人で今すぐに変えられることは?

河井:いろいろな人と出会ってつながることを意識したほうがいい、と。ところで、今日のテーマである「働き方」と「組織」に話を戻すんですが、「働き方を変える」ことと「組織を変える」ことは、直結していますか? 「自分が働き方を変えていく」のと「会社が組織を変えてくれる」のでは、どっちが先に来るのが望ましいのでしょう?


ピョートル:少し問題のある発言ですが(笑)、私は「働き方改革」という言葉が好きではありません。そもそも会社は何のために存在しているのでしょう。どんな価値をどんな仕組みで世界にもたらしていくかを考えるのは、経営者の仕事です。「働き方改革」ではなく、「経営改革」を考えたほうがいいと思うんです。


 個人のレベルで考えるならば、医療が発達して寿命が延びている現在、65歳で仕事を辞めて引退しても、つまらないでしょう。現実的な話としても、日本の年金制度はあまり信頼できないし、65歳で引退して貯金で生活していくのは大変だと思います。昔より現役で働く期間は、ずっと長くなるでしょう。


 労務環境が変わり、本業と並行して副業をする人も珍しくなくなってきました。個人のレベルでは、「働き方改革」というよりは「人生改革」として考えなければいけないですよね。自分が何を世界にもたらしたいのか、何を大切にしたいのか。自分の軸をクリアにすれば、その他のこともおのずと見えてくると思います。やりたいことをクリアにして、会社とどのように付き合うかも、自分で決める。必ずしも正社員という形態がいいとは限りません。個人事業主として会社と付き合ったほうが儲かる可能性だってありますよ。


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