「10年後、あなたの仕事はAI(人工知能)やロボットに代替されるか?」と問われたら、あなたはどう回答するだろうか。AIやロボットの活用が広がりを見せる中、たびたび「人間の仕事が奪われるのでは」といった不安の声がメディアなどで取り上げられる。家庭の中でもAIが搭載された家電が自動で調理や掃除、空調制御を行うなど、人がする作業が少しずつ減ってきているのは肌で感じることができる。


 通信教育を手がけるユーキャンは、20代から40代のビジネスパーソン310名(男性159人、女性151人)を対象に実施した「AIやロボットによる仕事代替の影響と備えておきたいスキルに関する意識調査」の結果を発表した。これによると、10年後、世の中の業務(仕事)の33.2%がAIやロボットなどのテクノロジーに「代替される」と考えられていることがわかった(図1)。


10年後、AI・ロボットによる世の中の業務(仕事)の代替率(出所:ユーキャン)

 一方で、自身の日々の業務については、AIやロボットに「代替される」と回答した人が36.8%、「代替されない」と回答した人が40.0%だった(図2)。代替されると回答した人に「自身の業務の何%が代替されるか」を聞いたところ、21%~30%という意見が最多ではあるものの、かなりばらつきがあった(図3)。一部の業務は代替できるものの、「完全に仕事を奪われる」と認識している人は少ないようだ。


10年後、AI・ロボットに自身の仕事が代替されるか(出所:ユーキャン)
自身の仕事が「代替される」と回答した人が考える代替率(出所:ユーキャン)

 「10年後、AIやロボットの普及によって自身の給与に変化があるか」という問いには、現在の給与より「増えている」と答えた人が16.1%、「減っている」と答えた人が28.7%、「変化なし」と答えた人が33.2%だった。給与が増えると予想する人は少ないものの、AIやロボットによる仕事の代替に「期待している」と答えた人は51.0%に上る。特に管理職は、回答者全員が「期待している」と回答したという。


 期待する理由は、「人間がすべき仕事に集中できるから(38.0%)」、「ワークライフバランスの充実(28.5%)」、「ヒューマンエラーを減らすことができるから(26.6%)」などが上位となった(図4)。不安を感じる理由は、「人間の仕事が奪われ失業者が増えるから(40.0%)」、「自分の仕事がなくなる恐れがあるから(36.8%)」という仕事そのものがなくなる不安が大きく、「必ずしも商品・サービスの品質が保証されるものではないから(26.3%)」や「故障や異常のリスクが高く、臨機応変に対応できないから(16.8%)」という仕事の"質"に対する不安を上回った(図5)。


AI・ロボットによる仕事代替に期待する理由(出所:ユーキャン)
AI・ロボットによる仕事代替に不安を感じる理由(出所:ユーキャン)

 AIやロボットに代替されないスキルを「持っている」と答えた人は38.7%で、「持っていない」の34.2%をやや上回った。「持っている」と回答した人の職種は、「管理職(71.4%)」が最も多く、次いで「専門・技術職(58.4%)」、「販売職(40.0%)」となった。「身につけておきたいスキルは?」という問いには、「専門資格(28.1%)」が最多となったが、それ以外は「実行力(24.2%)」、「論理的思考力(23.9%)」、「課題を見つける洞察力(23.2%)」といった内面的な"スキル"ばかり並ぶのが興味深い(図6)。


AI・ロボットの発展に備えて、身につけておきたいスキル(出所:ユーキャン)

 今回の調査結果を踏まえて、ロボット工学者で大阪大学の石黒浩教授は「ロボットや新しい技術の発展に対し、不安に思うのは当然。技術の発展には良い面と悪い面があり、良い面を正しく理解すればその技術を使いたいと思うようになる。とにかく不安を解消したいという方は、ロボットについて学ぶしかない。ロボットの中身を知れば何が不安なのかがわかり、何をしていればロボットに勝てるかも判断できるはず」とコメント。また、「人が身につけるべきスキルは、コミュニケーション力やカウンセリング力だと思う。カウンセリングのような人と心を通わせるような仕事はこれからも人間のすべき仕事だし、どんな時も不測の事態に対応できるのは人間だけ。ロボットはあくまで道具。上手く活用することで新しい仕事も生まれてくるだろう」とした。


ロボット工学者の石黒浩氏(出所:ユーキャン)

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