このところ、AIブームにより”ビックデータ”が脇に押しやられた感がある。ただ、次世代の石油、通貨などと言われる「データ」の活用は、企業にとっては重要なテーマである。より良い意思決定を促し、新しいビジネスチャンスを見いだすヒントをくれるからだ。このような”データ主導”の企業になるためのポイントは何か?ーー専門家の答えは「好奇心」だ。

データへの好奇心

 売り上げの推移を示すデータがあれば、売り上げが落ち込んだ理由、逆に上がった理由が気になるだろう。直感だけでは解釈できないことはたくさんある――例えばソーシャルメディアで展開するキャンペーンの成果がどれだけ出ているのかなど、できればリアルタイムで知りたいはずだ。売れ筋の商品がわかれば、供給を増やして顧客のニーズに応えることもできる。場合によっては天気など他のデータを掛け合わせて相関関係を見出すなど、創造性も発揮できる。データの裏付けがあってこそだ。


 米小売大手のTargetは、従業員のデータ活用を積極的に進めた。例えば、大型店舗からより小規模な店舗を展開するという戦略を敷く中で、店舗が時間単位の売り上げデータにアクセスできる基盤を整えた。データを探索することで、店舗スタッフを増やすべきか、予想していなかったが顧客が購入している商品カテゴリはどれかなどがわかる。また、米国の小売にとって重要なブラックフライデーでは、リアルタイムの売り上げデータを見ながら対応したという。


 CFO(最高経理責任者)をはじめとした幹部から店舗のマネージャーレベルまで、様々な立場でデータを活用するカルチャーを構築した、と胸を張るのはBen Schein氏。TargetでBIとアナリティクス担当ディレクターとして重要な役割を果たした人物だ。基盤に用いたのは、BIとデータ視覚化の「Domo」で、Hadoopベースのデータプラットフォーム、データ自動化ツールなどを組み合わせた。毎月3000人がデータを活用するというデータ主導の組織に変革した後、Schein氏はTargetでの経験を活用すべくDomoに移り、データキュリオシティ・イノベーションセンター担当バイスプレジデントとして顧客企業がデータ主導カルチャーに変わるのを支援している。


米TargetでBIとアナリティクス担当ディレクターを務めたBen Schein氏

 Schein氏は言う。「データを使ってもらうためには、まず興味を持ってもらうことから始めなければならない」。


 この「データへの好奇心」は、実はデータのプロであるデータサイエンティストでも必須と言われている要素だ。


 KPMGでデジタルとイノベーションのコンサルタントを務めるMustafa Ezzeddine氏は、「好奇心」をデータサイエンティストとして成功するためのナンバー1の素養にあげる。「数学やプログラミングなどのスキルは経験から得ることができる。だが、データサイエンティストの最大の素養は好奇心だ。データから洞察を得たり、答えを見いだそうとする好奇心が必要だ」という。

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